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「血脈の火 ー流転の海〈第3部〉」

amazon戦後最高の大河小説「流転の海」の第3部。
第1部「流転の海」の連載が昭和57年というから3巻書くのに14年かかったことになる。第5部まであるらしいから、ボクたちはまさにこの本と生きていくことになる。幸せなことだ。
あらかた筋を忘れてしまっていたので「流転の海」「地の星」と読み返してからこの本に臨んだ。
シリーズを一気に読んでみて思うのだが、この本の主題はまさに「人間の途方もなさ」だと思う。もちろんこれだけの長編ゆえ、他にもいっぱい要素は入ってきている。人間の強さや勇気を歌い上げてもいるが何より著者が書きたかったのは人間そのもの。「人間ちゅうのは、底無し沼じゃのう」という松坂熊吾の台詞があったがまさにこれこそ主題だと思う。
物語は大阪に帰ってきて「泥の河」などを彷彿とさせる宮本輝ワールドが展開するのだが、第1部第2部に比べて筆致が静かになってきたのと、説教くさくなってきたのが気にかかる。14年も書いているから文体も変化するだろうし言いたいことも変わってくるだろうが、なんとかこの緊張感を持続させてがんばって欲しいと思うなぁ。
1996年12月01日(日) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(日本)
@satonao310