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「¥999」

amazonフランスでの大ベストセラーの邦訳。
原題は「99F」。99フランですね。そのニュアンスを999円という邦題にしている。この本もこの世界も広告業界のモラルもすべて999円で買える程度のシロモノさ、みたいな意味の題名。
そう、舞台は広告業界。著者も広告業界出身で、赤裸々に内部を描いた、という評価もあるようだ。同じ業界に身を置いているものとして「んなことあるわけない」描写だらけなのだが、フランスではそういうこともあるのかなとも思わされたり。なんつうか、業界っぽい人たちの描写とそれに対する虚無感はわりと的を射ているかも。ま、人生なんて虚飾とクズと無意味で詰まっているわいな、みたいな虚無感に襲われやすい業界ではある。
若い広告クリエーターが主人公で、人称が次々変わる構成や独特の文体がユニーク。青臭く独白しただけのぬるい作品と取ることも、現代の「ライ麦畑でつかまえて」的作品と取ることも可能だが、ボク自身は、リアルな部分と荒唐無稽に筋を展開させた部分の整合性の気持ち悪さが大いに気に入らない他はわりと気に入った。独善的な毒舌が広告業界嫌いの広告業界人であるボクにわりと心地よかった、というだけのことかもしれないけど。
2002年08月01日(木) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(海外)
@satonao310