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LV5「敵対水域」

ピーター・ハクソーゼン/イーゴリ・クルジン/R・アラン・ホワイト著/文藝春秋/1714円

敵対水域
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冷戦時代の1986年。バミューダ海域でソ連の原子力潜水艦が沈没した。これはその関係者を詳細に取材して一編に織り上げたノン・フィクションである。

「泣いた」「感動に手が震えた」などと前評判が高い上に、表紙にトム・クランシーが「これほど深く胸に滲み入る潜水艦の実話を私はこれまでに読んだことがない」などと書いているもんだからかなり期待した。
たしかに内容は感動的。また、潜水艦内の油の匂いまで匂い立ってくるような迫真の表現で読者を飽きさせず最後まで引っ張る。だがどこかで気持ちが入り込みきれなかった。

その理由は「これって本当にノン・フィクションか?」というところ。
ストーリー自体は実話だろう。が、登場人物の感情の動きなどに必要以上に作者の筆が入り込み「感動を演出」している気がするのだ。別に演出してもいいんだけど、表紙などでここまで「実話」「ノン・フィクション」をうたっている上に前書きでも「その行動、交わした会話、そして各人が胸に抱いた密やかな思いにいたるまで、すべて本人が著者に直接語った証言に基づいている」と書かれているから突っ込みたくなる。ボクが気にしすぎなのかもしれない。でもノン・フィクションをうたうには作者の筆が走りすぎている。この本は事実に基づいたフィクションである、そう割り切って読めばもちろん充分に楽しめる。

1998年03月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ノンフィクション

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