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LV5「舌づくし」

徳岡孝夫著/文藝春秋/1714円

舌づくし
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季刊誌「四季の味」での著者のコラムを集めたもの。
すべてのコラムが料理や味の思い出に収束しているから一見食べ物が主役の本のように思えるがさにあらず。テーマは確かに「味」ではあるが、ある時はメインディッシュになり、ある時は付け合わせになり、ある時は調味料になり、著者の半生というお皿を様々に彩る役目しか得ていない。であるから、味エッセイと括ってしまうと的を射ないことになる。というか、そう括ってしまいたくない魅力に溢れた名エッセイ集だ。

フルブライトで留学し、毎日新聞社を経てサンデー毎日の編集委員などを歴任した著者は、とにかく経験豊富。世の中の見方も一元的ではなく、たいへん「大人」である。そしてまたそれを静かで味わい深い文章に託せる筆力を持つ。菊池寛賞や日本推理作家協会賞、新潮学芸賞などを受賞しているのもうなずける文章力。一読魅了されてしまった。

ほとんど半生記に近い構成である。このエッセイを読むことで著者の半生は浮き彫りにされてくる。淡々とした名文で綴られたそれは季節と味と様々な人生が交錯して飽きさせない。決して派手ではないが、着飾らない素朴で滋味溢れる食事をしたあとに感じるような深い満足感。折に触れ読み返したい本になった。

2002年02月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒 , エッセイ , 自伝・評伝

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