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LV5「レディ・ジョーカー」

高村薫著/毎日新聞社/上下各1700円

レディ・ジョーカー〈上〉
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「かい人二十一面相」に題材を得てその完全犯罪をするどく描き込んでいるが、実はこの本は日本の偽りの成長を支えた歯車達の「疲労」について書いている。働き続け犠牲になり続けた結果こんなに醜劣な社会になってしまったことへの救いようのない「絶望」について書いている。
組織という名の偽善、忠誠という名の暴力、そして成長という名の犠牲……一読絶望の地平が広がる。こんなにも日本という社会の先行きを憂い(というかもう匙を投げている)、日本人の疲弊をリアルに描いた小説には近来お目にかかったことがない。

ラストにいくらか救いのようなものが用意されているが、それは著者が編集者に言われて仕方なく入れたのではないか、と思わせるくらいこの本は著者の悲痛なる叫びで埋め尽くされている。ただ、読者にこうして絶望と無力感を味わわせるだけでいいのか。小説家としてそれだけでいいのか、それは疑問だ。

余談だが舞台はボクが子供時代に過ごした土地、東京の大森山王。地元っ子だからこそわかるのだが、作者の下調べの周到さには舌を巻いた。さすがだなぁ。

1998年01月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

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