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LV5「三つの小さな王国」

スティーヴン・ミルハウザー著/柴田元幸訳/白水社/2000円

三つの小さな王国
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それぞれ自分の中にある小さな王国(つまりは人生そのものなのだが)について書いてある3つの短編からなる。

形式的には実験小説的趣を持ちながらも一糸乱れない。著者はものすごい筆力で内なる美しい王国を夢想的に紡いでいく。すごいのは紡いでいる視点が第一人称なのか第二人称なのか第三人称なのか、読み終わってから混乱すること。読んでいる間は気持ちよくスムーズに読めるのだが、読後に視点が折り重なって4次元のような不思議な浮遊感をもつのだ。こういった小説はあまり読んだことがない。

敢えて言えばアンドレ・デビュースっぽいかな。違うかな。なんというか著者の小説世界に一度身を投じるとしばらく出たくなくなってしまう。そんな気持ちよい異次元さ。柴田元幸訳ということで安心して読んだ部分が大きいのだが、実はちょっと青山南訳で読んでみたい気もしている。もうちょっと原文は耽美的なような気もするし。

特に一つ目、「J・フランクリン・ペインの小さな王国」は傑作短編。

1999年01月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(海外)

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