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LV4「新・勉強の常識」

ストロング宮迫&タイガー山中著/PHP研究所/1365円

新・勉強の常識―成績がイイ子の親だけが知っている!
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副題が「成績がイイ子の親だけが知っている!」で、帯は「親は絶対に勉強を教えてはいけない!」。受験生を持つ親は必読な本である。

うちも中学受験を一年後に控え、毎晩のように妻と娘の勉強バトルが繰り広げられているわけだが(ボクは仲裁役)、その妻がさっそく読んで感動していた。「わたし、いけないことばかりしていた」と反省しきり。すごく役に立ったようである。あれ以来バトルが激減した(笑)。これだけでも著者の方々に感謝しなければならない。

で、遅ればせながら、ボクもじっくり読んでみた。
なるほど、つまりどう子供を乗せちゃうか、ということですね。あとは親の勘違いの是正。親は中途半端に自分の体験を子供にかぶせるからなぁ。しかも視野狭く。
というか、勉強って本来楽しいもののはず、という当たり前のことを思い出させてもらった気がする。大人になると勉強ってそれなりに楽しいんだけど、子供のときはなぜあんなに辛かったのか。その答えが書いてある。な〜んだ、楽しく出来そうじゃん。そういう親の意識改革にとても役立つ本である。

2006年01月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉

LV2「他者の苦痛へのまなざし」

スーザン・ソンタグ著/北條文緒訳/みすず書房/1800円

他者の苦痛へのまなざし
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大雑把に言えば、戦争写真論である。
戦争の苦痛と戦争写真によって伝えられる映像の苦痛、その直接性と間接性の差に起因する様々な問題を具体的な写真例を取り上げながら(本書に写真は一枚も載ってないが)論じていく。スーザン・ソンタグの論はチョムスキーなどよりも読みにくいという印象があったボクだが、この本はわりと平易でわかりやすかった。ただし、比較的当たり前な論の展開だなぁと思ったのも事実。ひとつひとつ命題をつぶしていっているあたりは、きっと必要なのだろうけど、一般読者としてはわりと退屈かもしれない。

第五章で指摘されている「アメリカに奴隷制の歴史博物館がないのはなぜか」「写真を見ることでわれわれが攻める権利をもっていると信じている対象は誰なのか」というあたりの論展開、そして第六章の、死体や暴力を受けた肉体、苦痛の映像などが性的興味を喚起するという出発点からの論展開が興味深かった。

というか、この本の秀逸な部分はその題名が大きい。いい題名だなぁ。原題は「Regarding the pain of others」。

2004年01月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際 , 評論

LV4「バレエの魔力」

鈴木晶著/講談社現代新書/680円

バレエの魔力
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守山美花の「バレエに連れてって!」と本質的には同じテイストだが、こちらは著者が男である分、少しミーハー度が減少している。
テーマ的には「おじさんたちよ、バレエをみよう」である。バレエが好きなんていうオジサンは確かに超少数派であり、口にするのも恥ずかしい現実はあるのだが、そうでもないよ楽しいよ一度は見てみようよ、という視点で書いてある。しっかり理屈や歴史も入っている。理屈っぽくて蘊蓄好きのオジサンたちには上記「バレエに連れてって!」よりこっちの方が読みやすいかもしれない。新書だから薄いし、持ち歩くのも恥ずかしくないし。

この本と上記「バレエに連れてって!」が結局一番わかりやすかった。初心者はこの2冊でいいかも。あとは2002年7月に読んだ「ユカリューシャ」あたりを読んでおくと、ダンサー側の見方もわかって楽しいかも。

2003年10月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:アート・舞台

LV2「バレエ誕生」

鈴木晶著/新書館/3200円

バレエ誕生
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バレエの歴史の本。他の入門編の本でも簡単な歴史を読める。が、ここでこの400ページにも及ぶ専門書(?)をざっと読んでおくとより理解がしやすくなるのも事実。こういうのはざっとでいいのだ。
書いたのは上記「バレエの魔力」の著者ゆえ、わかりやすく平明にツボを示してくれている。労作だと思うが、バレエ好き以外の人にはつらい本かもしれないなぁ。というか、まぁバレエに関心があるヒト以外はまず手に取らない本なのでこれでいいのか。敢えて言えば、昔の舞台演出の具体例みたいのがわかりやすく絵で示されて講評されているといいなぁと読みながら思った。時代とともにあったバレエの姿をもう少し体感したかったかも。

2003年10月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:アート・舞台

LV5「痴漢犯人生産システム」

鈴木健夫著/太田出版/1500円

痴漢犯人生産システム
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ある朝、いつもの通勤満員電車の中で突然「痴漢よ!」とえん罪を着せられた著者によるノンフィクション。
えん罪はどうやって起こるか、警察による一方的な決めつけ、失礼な取り調べ、留置場での生活、裁判の過程、会社の理不尽で冷たい対応……いやはや、背筋がゾゾゾと冷たくなる本である。怖すぎる。実に怖い。(秀逸なる)表題通り、痴漢犯人生産システムに乗ってしまったら、もう起訴有罪まで一直線である。

著者は逆転無罪を勝ち取るまで戦ったが、それは全くのラッキーでありいろんな状況証拠が有利に働いただけのこと。現実にはもっとえん罪がはびこっていると想像させられる。一部上場の会社をクビになりいまでは日雇労働者であるという著者。全くのえん罪で人生がすっかり変わってしまった例である。会社はなんにも守ってくれない。しかも国からのえん罪賠償金はすべて合わせても75万円程度。こわ~。

著者の体験記が前半、それを弁護した弁護士による述懐と対処方法が後半である。
ま、ボクはもう「満員電車に乗ったら両手をつり革、もしくは上の手すりに」と決意したが、それでも疑われた場合、「とにかく駅長室に行くな!」ということだけは守りたい。駅長も警察もすべて女性側の味方なので、駅長室に行った時点で有罪確定である。真面目な男ほど「警察に行って話せば誤解とわかるはず」と思って率先して駅長室や警察に行くらしいが、警察は絶対わかってくれないことがこの本を読むと怖いほどよくわかる。

決して痴漢を受けた側の女性の気持ちを無視するわけではない。ただえん罪だった場合、人生はそこで終わる。やりきれないではないか。男女ともに注意すべき事柄だろう。読むべし。

2001年11月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ノンフィクション , 時事・政治・国際

LV3「ロスト・ジェネレーションの食卓」

スザンヌ・ロドリゲス=ハンター著/山本博監訳・山本やよい訳/早川書房/3500円

ロスト・ジェネレーションの食卓―偉大な作家・芸術家たちは何を食べたのか
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「ロスト・ジェネレーション」って良く使う言葉だけどどういう意味かわかっている人はわりと少ない。
調べたら、これは第一次大戦後の若者をさす言葉。正しい礼儀作法を身につけるべき18から25歳に軍隊暮らしをした男をさして、しつけが出来ていない世代という意味でフランスの誰かが言った「ジェネラシオン・ペルデュ」という言葉をヘミングウェイが英語に直訳した、ということらしい。だからそれを「失われた世代」と邦訳するのは二重に間違いを犯していることになる。失われた世代、って訳語は格好いいけどね。でも意味的にはまるで違うニュアンスになってしまった。

副題は「偉大な作家・芸術家たちは何を食べてきたか」。
ヘミングウェイ、フィッツジェラルド、ピカソ、ガートルードなどのロスト・ジェネレーションの有名アーチストたちのエピソードを紹介し、そのエピソードに出てくる料理をくわしいレシピとともに紹介した本である。
全部にレシピがついているのが良い。また訳注も充実していて素晴らしい。例えばシルヴィア・ビーチとジェイムズ・ジョイスが初めて出会った夜の料理のレシピをくわしく読む、それだけでまるでタイムマシンに乗ったようにその夜にボクたちは行けるのである。このリアリティはなんなんだろう。急に親近感がわき、その夜の会話の雰囲気まで眼前に浮かび上がってくるではないか。おもしろいなー。

料理に興味があり、文学にも興味がある方はぜひ読んでみると良い。日本では嵐山光三郎が「文人悪食」を書いているが、あれもくわしいレシピがあったらもっと良かったなぁ。難を言えばこの本、値段が異様に高い。意味もなく巻頭に観光ガイドみたいなカラー写真がついているからもあるだろう。再現した料理の写真ならわかるが、こんな写真は無駄。その分1000円は安くして欲しい。だって360ページほどの普通の本なのに3500円! 許せないでしょ?

2000年10月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒

LV1「クラシック名盤ほめ殺し」

鈴木淳史著/洋泉社新書y/680円

クラシック名盤ほめ殺し
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ほめ殺し、というか、まぁ言いたい放題に近い内容ではある。
名盤といわれるものを独自の評価で切ったものなのだが、天使と悪魔に役割を与え、その対談にしたことで毒が薄らぎ、しかもそこに知識を詰め込みすぎ、ギャグまで詰め込んでいたりするから、一読ではなにをどう誉めているのか貶しているのかよくわからないのが難。結果として「マニアックな人に対する内輪受け的言いたい放題」になってしまい、ボクみたいに中途半端な位置にいるものにとっては詰まらない内容になった。

もうちょっと整理されているとわからないなりに面白かったりするし、この著者の全体スタンスが見えてきたりして、読者は著者にしっかり付いていけるのだが、これではちょっとついて行きにくいなぁ。もっとたくさん知識があった上で読むと、行間のニュアンスや「わかるひとだけわかればいいや」的ほのめかしにも反応できて楽しいのだろうけど…。そういう意味では上級者向きか。

2000年07月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:音楽

LV3「バーナム博物館」

スティーヴン・ミルハウザー著/柴田元幸訳/福武文庫/680円

バーナム博物館
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タイプの違う短編が10編。

ミルハウザーは「三つの小さな王国」を読んだだけだが、非常にオリジナルな世界を紡ぎあげる人で次々読みたくなる作家である。が、わりと時間がかかってしまうのも確か。この短編集もだらだらと2カ月ほどかかってしまった。「三つの小さな王国」よりもより実験小説風で独自の構築とリズムに入っていくのに時間がかかってしまうのだ。

かといって読み飛ばせない迫力が行間に満ちているから一文字一文字じっくり対峙しなければならない。緻密でみっしりした構成力。読者の「読書力」が試される作家である。
次は「イン・ザ・ペニー・アーケード」をゆっくり読むつもり。寝る前とかの睡眠薬にはとってもいい作家だし。

1999年06月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(海外)

LV3「入浴の女王」

杉浦日向子著/講談社文庫/467円

入浴の女王
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簡単に言うと「全国銭湯巡りエッセイ」である。
銀座金沢新潟大阪…とにかく街に密着した銭湯を味わいその街のエッセンスをしっかり栄養としていく道中。文章は独特のリズム感。ここまで著者に蕩々と遊ばれちゃうとなかなか読んでいて気持ちがいい。特に酔って浸かって騒いだあげく、ふやけきった文章を書いている部分がところどころにあるのだが、これがまたいい。行間に湯気・色気まで漂ってとってもぬくもるのである。
別に「銭湯を無くすな」と声高に叫ぶことはしていないしそういうつもりもないのであろうが、読み終わったあとの「銭湯衝動」は結果的に銭湯保存に役立つだろう。

ちなみに銭湯は小学生以来行っていない。子供を共同風呂に慣らすためにもちょっと行ってみようかな、と思って調べてみたのだが…、歩いていけるところにはないようだった。減っているよねぇ。

1999年03月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ ,

LV5「三つの小さな王国」

スティーヴン・ミルハウザー著/柴田元幸訳/白水社/2000円

三つの小さな王国
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それぞれ自分の中にある小さな王国(つまりは人生そのものなのだが)について書いてある3つの短編からなる。

形式的には実験小説的趣を持ちながらも一糸乱れない。著者はものすごい筆力で内なる美しい王国を夢想的に紡いでいく。すごいのは紡いでいる視点が第一人称なのか第二人称なのか第三人称なのか、読み終わってから混乱すること。読んでいる間は気持ちよくスムーズに読めるのだが、読後に視点が折り重なって4次元のような不思議な浮遊感をもつのだ。こういった小説はあまり読んだことがない。

敢えて言えばアンドレ・デビュースっぽいかな。違うかな。なんというか著者の小説世界に一度身を投じるとしばらく出たくなくなってしまう。そんな気持ちよい異次元さ。柴田元幸訳ということで安心して読んだ部分が大きいのだが、実はちょっと青山南訳で読んでみたい気もしている。もうちょっと原文は耽美的なような気もするし。

特に一つ目、「J・フランクリン・ペインの小さな王国」は傑作短編。

1999年01月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(海外)

LV3「依頼なき弁護」

スティーブ・マルティニ著/菊谷匡祐訳/集英社文庫/上下各700円

依頼なき弁護〈上〉
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1996年に出た法廷サスペンス。
映画化されたような気もするが…良く知らない。これも本棚に長く眠っていたものだ。ストーリー的にはかなり練り込まれ、どんでん返しもなかなかのものだが、「そんなのあり?」なご都合展開と、「オレって頭いいだろう」的比喩の嵐(特に前半)がわりと鼻に付く。著者の自意識過剰がちょっと見えてきてしまうのが残念だ。
そうやって悪意に見だすと、ストーリー展開もいかにも「よく考えただろ、オレ」という感じだし、数ある伏線も「読者なんて頭悪いんだからこのくらいわかりやすくしといてやるよ」みたいなわざとらしさに取れてくる(←悪意すぎ)。まぁなんというか、良く出来ているけど嫌いなタイプのミステリーかな。人物描写や内面描写があまりにステロタイプなのが全体を「薄く」しているのかもしれない。

1998年12月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV2「本に読まれて」

須賀敦子著/中央公論社/1600円

本に読まれて
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この頃「須賀敦子追悼企画」みたいなのが多すぎてちょっと辟易。
いや、彼女が書いた文はなんであれ読みたい。でも、彼女はこういう形での出版を絶対認めなかっただろうな、と思われるようなお手軽企画が多すぎる気がする。ある意味、彼女の著作の全体レベルをさげてしまう出版が続いている。

これは生前著者がいろんなところに書き残した書評集、そして読書日記。
いい出来のものもあれば、おやどうしたの? と思わせるものもある。こうしてそれをモザイク状に並べても散漫な印象しか残らない。彼女の遺したものは読みたい。でもなんだか読みたくない。そんな複雑な想いで読み終えた。

1998年10月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ , 評論

LV3「時のかけらたち」

須賀敦子著/青土社/1600円

時のかけらたち
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ボクの愛する須賀敦子が生前にいろいろな所に残した小文を集めたもの。
もう本当に最後の作品集かもしれないし相変わらず文体は静かで美しいからほめちぎりたいところではあるが、他作に比べて内容的にイマイチ質が落ちると思う。どこか散漫でまとまりきっていない印象を受けるのだ。
彼女自身作品集にしようとしなかった作品群かもしれないから何ともいえないが、もう少しこなれたものを読みたかったなぁ、最後の作品として。

1998年08月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

LV5「遠い朝の本たち」

須賀敦子著/筑摩書房/1600円

遠い朝の本たち
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98年3月20日に急逝された著者の遺作である。
ボクは本当に彼女の本を愛していたので悲しくてたまらない。これを最後にもう彼女の作品は読めないことになる。なんということだろうか。

内容は著者が若い頃に愛した本たちについての随筆である。相変わらず読者の心を静かにそして透明にしてくれるその筆致。名文の連続でありとても速読はできない。その「まやかしのない言葉の束」が読者の心に直接に入ってくる。そして読者をして「私ってこんなに感性豊かだったかしら?」と錯覚させてしまうような効果すらある。

手を洗って背筋を伸ばしてゆっくりページをめくりたい名作だ。
向田邦子のように小道具が散りばめられてはいないしオチもないのだが、どこかで彼女の静謐な魅力に通じるところがある。文体の素晴らしさがそう感じさせるのか…。とにかく、日本語をここまで品よく書ける人を我々は失ってしまった。実に哀しい。

1998年06月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

LV3「新解さんの読み方」

鈴木マキコ著/リトル・モア/1500円

新解さんの読み方
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「新解さんの謎」を読んだことがある人ならわかると思うけど、あそこにSM嬢というのが出てきたよね。何を隠そう、その方こそこの本の著者。攻めの辞書新明解国語辞典ブームの火つけ役はまさにこの方なのだ。

この本はあの名作「新解さんの謎」よりも一段と詳しく読みほぐした専門書の趣。一見それぞれのワードについて言及しているだけのように見えるけど、実は著者は「新解さん」と対談しながらエッセイをものにしているという知能犯。やり手だ。

いずれにせよ、四版と五版の比較を始め、気の遠くなるような手作業のすえに生まれた本であることは間違いがない。労作に見えない労作。新解さんに興味がある人にはたまらない魅力を有するが、ちょっとくどいと言えばまぁくどいかな。ボクは楽しめた。

1998年06月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ , 雑学・その他

LV5「『Shall we ダンス?』アメリカを行く」

周防正行著/太田出版/1800円

『Shall weダンス?』アメリカを行く
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映画『Shall we ダンス?』が全米で公開になり、そのキャンペーンで18都市を訪れた周防監督の日記である。

基本的にはどういうインタビューを誰からどう受けこう答えた、という記録なのだが、大部なのに読者を飽きさせずさらっと読ませる。文章が平易。彼の映画そのもので「まずわかりやすいこと」を主眼に置いているからだろう。そして楽しく興味ある展開が次々あらわれる。

アメリカ公開に向けてどこを無理やりカットさせられたか、など、エージェンシーとの闘いは映画好きには必読だし、インタビューやキャンペーンがどのように繰り広げられるかに興味ある人も必読だ。
だがこの本の真骨頂は結果的に浮かび上がるアメリカ文化と日本文化の姿だろう。特にインタビューの質問を通してアメリカ人が思っている日本が浮かび上がってくるのが面白い。それを周防監督と一緒に受け止め、では日本とは一体なんなのだとこちらも考え始めていく。そこの過程がボクには新鮮で楽しめたのだ。

1998年03月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:映画・映像 , ノンフィクション

LV4「東京観音」

荒木経惟+杉浦日向子著/筑摩書房/2200円

東京観音
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アラーキーが写真を撮り、杉浦日向子が小文を書きながら東京の街の姿と観音像を巡っていく。その企画にまず拍手。

相変わらずアラーキーの視点がいいので飽きない。彼に撮られると観音様も急に人間味を持ち出すから面白い。杉浦日向子の文もいい。妙に色気がある。アラーキーに触発されている感じ。

という風に至極面白かったんだけど、この二人のそぞろ歩きであるならばもっともっと濃厚な構成でないと読んだ気がしない部分がある。もうお腹いっぱいってくらい写真と文を載せて濃厚きわまりなく構成してくれてこその二人だと思うのだが。ちょっと欲求不満が残るかも。

1998年03月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ , 写真集・イラスト集 ,

LV4「ソバ屋で憩う」

杉浦日向子とソ連編著/BNN/1800円

ソバ屋で憩う
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この本は72軒のソバ屋を紹介した本だが、いわゆるソバ屋ガイドではない。大人のための憩の空間ガイドなのだ。

ソバを愛する人を無理やり二つに分けると「勢い余って自分で打っちゃう求道オヤジ」と「夕方4時の熱燗&蕎麦オヤジ」に分かれると思うが、この本は後者のためのみに書かれている。ボク自身は蕎麦も打つが求道家ではない。どちらかというと後者なので、なんだか共感しつつ読み終えた。

そんな楽しみを追及する人にはうってつけの本ではないだろうか。対談もよく出来ているし、セレクションも妙に納得がいく(地方の店についてはソバという料理に少し寄りすぎている感があるが)。こういう風に視点を絞ってある本って好きだなぁ。

1998年02月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒

LV1「新しい歌をうたえ」

鈴木光司著/新潮社/1300円

新しい歌をうたえ
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「リング」「らせん」の作者の初エッセイ。
エッセイを書くのに必要な才能として「自慢するのが上手であること」があると思う。嫌味にならず反感も買わず上手に自慢すること……たとえば玉村豊男や林望などはたいへん上手である。

この著者ははっきり言ってわりと下手。内容は悪くない。つぶりたい目を無理やりこじ開けるような強烈なメッセージも入っている。そのうえ題名もなかなかいい(とても共感する)。なのに、自慢下手なせいで全体がちょっと微妙な空気になってしまった。ちょっと残念かも。

1997年12月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

LV5「リング」

鈴木光司著/角川ホラー文庫/560円

リング
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一言。怖い。
ホラー小説とは知らず(角川ホラー文庫と書いてあるのにねぇ)に読み始めた。ホラーは基本的に嫌いだからホラーと知っていたら読まなかった。
だから僕がホラーになれていないというせいもあるとは思うのだけど、本当に怖かった。目の付けどころ。構成。盛り上げ。謎。推理。展開。どれをとっても見事な完成度。著者のずいぶん前の作品だが、ずいぶん前に「ぜひ読んで」とメールが来たのでやっと読んだ。読んでよかった。でも出張中にホテルでひとりで読むもんではありませんね。あぁ怖かった。怖がりなんです。ボク。

1997年05月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ホラー

LV3「ユルスナールの靴」

須賀敦子著/河出書房新社/1600円

ユルスナールの靴
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この人の本は必ず読んでいるが、今回はちょっと肩の力が入りすぎているようだった。
フランスを代表する作家ユルスナールの人生を縦軸に、著者の人生を横軸に、見事に紡ぎ上げてはいるのだが、思い入れが強すぎるのかそれともその構成に縛られ過ぎたのか、ちょっと全体に硬直して感じられる。静謐な文体は相変わらずだけど。
ちなみに出だしの一文は名文でした。

1997年05月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

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