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「シーズンチケット」

amazonペーパーバック的風合いが好ましいBOOK PLUSシリーズの一巻。
この本はイギリスの物語。サッカーのシーズンチケットを買うことが唯一の夢である少年ふたりの悪戦苦闘の日々を描いた中編。「映画化!2001年GWに公開」と帯に書いてあるから、ちょうどこの5月に日本で公開されているらしい。
イングランド北部の貧困街で、閉塞感バリバリで暮らす少年ふたりの夢、それはニューカッスル・ユナイテッドの年間指定席を手に入れること。
スタジアムで好きなだけ試合を見れたらなんて素敵だろう、という閉塞感の象徴のような密やかな夢の設定がまず泣かせる。そしてそれを買うためにお金を貯めるのだが、その考えついた方法がすべてあまりに貧困で泣けてくる。そう、一見明るい筆致でコミカルに書かれた本のようだが、内実は暗く閉じられた悪循環の話なのだ。そしてラストもハッピーエンドではない。夢を諦めないところが救いといえば救いだが、でもきっと彼らはこの悪循環から抜け出せない。
明るく性格もいいふたりがどうしようもなく堕ちていく様が、社会派的押しつけを使用せずよく書けている。読者を自然に応援させつつ、一緒に閉塞感を味わわせる手法もなかなか。金稼ぎエピソード群がもっと面白ければかなりいい本になった気がする。あそこらへんがもうひとつなのがこの本の弱いところ。映画はここらへんを笑えるように描いていることであろう。
2001年05月01日(火) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(海外)
@satonao310