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「顔に降りかかる雨」

amazon著者が1993年に発表した推理小説。第39回江戸川乱歩賞を受賞している。
「OUT」で新境地を開く前に創出した主人公、村野ミオが活躍するシリーズの第一作で、その硬質な文体や人物の造形の仕方など現在の著者の原点を見る思いがする。でも「OUT」や「柔らかな頬」と比べては可哀想なのだが、やっぱりちょっと劣るなぁ。筋的にも文章的にも。特にストーリーの持って行き方。プロット自体は悪くないと思うのだけど、なんで読後にこう満足感がないのだろう。
なんというか、ストーリーを破綻がないように精緻に作り上げて、それをハードボイルドな文体で装うのに腐心した、という感じ。感心はするけど感動はしない。主人公の心の襞がもうひとつ描き切れていないからかもしれない。いま同じストーリーで書き直したら全然違うものを書くだろうな、桐野夏生。
1999年11月01日(月) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:ミステリー
@satonao310