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「海から来た妖精」
古本屋で購入した一冊。1975年5月に発売されている。当時で1800円。カラー刷りでもない150頁の本としてはめちゃ高い。副題は「香山滋代表短編集 上」。下巻は古本屋に売ってなかった。探さなければ。
著者はゴジラを創造した人物として名高いファンタジー小説家。
いやファンタジーというより幻想文学といったほうがしっくりくるな。75年に亡くなった大人の童話作家なのである。一読、実に良い。いまと当時では時間の流れ方が違うので物語のスピードがたるい部分もあるが、その分ゆっくり幻想世界に沈んでいける。この「物語にゆっくり沈んでいく皮膚感覚」を物語が失って久しい気がする。フィクションは多いが「ものがたり」が少なくなったんだな、とこの本を読んで実感した。
どの短編も良い。個人的には「ネンゴ・ネンゴ」が気に入った。目の前に暗い海辺の暗い家が浮かび上がる。その家の饐えた匂いが鼻腔にむせかえる。闇。闇があったころの日本の素晴らしさがここにあるのである。なんだか澁澤龍彦を再読したくなったぞ。
※amazonでは登録すらありませんでした。
2000年10月01日(日) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:ファンタジー
@satonao310