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「軽いめまい」

amazon手練れな著者による小説。
いきなり冒頭、4ページに渡り句点がない。
ずーっと連続した文章で主婦の独白を読ませる。秀逸。この文体(構成)自体がこの小説のテーマのバックボーンになっている。
その後も小劇団の舞台を思わせるような息継ぎなしシャベクリ(そういえば村上龍も効果的にこの手法を使うよね)が続き、上手に読者をひっぱりながらなんでもない日常をおくるどこにでもいるような主婦の軽いめまいを見事に浮かび上がらせている。一人称と三人称を自由自在に書き分け、しかも特に事件が起こるわけでもない筋から現代世界の狂気を浮き彫りするあたり、著者の並々ならぬ力量を感じる。これはまさに、サルトルの「嘔吐」の平成ぶっちぎり版なのである。
1997年07月01日(火) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(日本)
@satonao310