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「私の仕事」

amazon副題は「国連難民高等弁務官の十年と平和の構築」。
そう、あの「日本一格好いい女性」緒方貞子が自分の仕事を振り返って書いた本である。うはーこりゃ激務だー!とビックリする仕事日記や回顧録、各地での講演、若い人達への提言など、内容は盛り沢山。じっくり読んでいくとそれはそれは立派な仕事と主張が散りばめてあり、圧倒されるし偉いなぁと客観的に思う。どういう仕事をしているかを知るためだけでも読む価値はあるかもしれない。特に「はじめに」で書かれている著者の基本スタンスは熟読に値する。
が、偉いなぁと感心していることを前提に、敢えて苦言を呈したい。
まず、学者が書いた本みたいになってしまっていること。国際政治学者や記者向けならこれでいいが、一般向けであるならある程度の噛み砕きは必要。忙しいだろうが、後進や若者のために、いかに意義深くすばらしい仕事かをやさしくわかりやすく書くことに大きな意味があると思う。何人かのトップクラスの科学者が科学用語を使わずに自分の仕事をきっちり紹介し若者たちを啓蒙しているようなことを著者にも期待したいのだ。
今のままではある程度の知識がある人以外とはコミュニケーションしようとしていない文章と言わざるを得ない。読み進めるのに国際政治の広い知識が必要な本であるのが非常に残念だ。また、全体にお行儀が良すぎて、教科書を読んでいるような気分になった。各方面に気を遣いつつ失言を避けて発言しないといけない仕事だということはわかるが、そういう発言を集めて本にしても読む側はいまひとつ乗れない(過去の出来事であるから特に)。「世界へ出ていく若者たちへ」と題された若者への提言の文章もとても硬い。彼女にこそ、自分の言葉で熱く訴えて欲しい。
もちろん、ちゃんと書く時間がないからこうしてまとめたのだろうし、出さないより出した方が著者の仕事への理解・普及になるからいいのであるが、著者だからこそ、期待してしまう。いい本であることを前提としてだけど。
2003年01月01日(水) 12:00:00・リンク用URL
@satonao310