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「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」

amazon第15回山本周五郎賞受賞作品。直木賞の候補にもなったが、取っちゃったらどうしようかと思ったよ。
って、別に著者がきらいなのではない。時間の切り取り方が見事だし、そのかけがえのなさ、他の誰でもなく自分こそにそういう時間が流れているのだという誇らしさと切なさ、みたいなものを書かせたら当代一流だとは思っている。
本作でも、表題作や「うんとお腹をすかせてきてね」「サマーブランケット」など、彼女にしか書けない時への愛おしさに溢れており、思わず本を閉じてぼんやり中空に目を漂わすようないい時間を過ごせた。
でも、なんだろう、透明すぎる。ボクには。
この透明感から、敢えて言うならば「イマではない」という印象を受ける。ある時期の村上春樹やわたせせいぞう、そしてトレンディドラマで使われた手法にスパイス振って上手に調理しなおした印象が抜けないのだ。そしてボクは(40代という年齢もあるのかもだが)そこに実在(リアリティ)を感じられなくなっている。このごろのTVドラマにもそれは言える。頭で考えて構築したことの限界、みたいな手触り。読んでいて、どうしてもそこが引っかかった。
2002年08月01日(木) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(日本)
@satonao310