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「バベットの晩餐会」

amazonこの本での表記はイサク・ディーネセンとなっているが、ボクの中ではアイザック・ディネーセンである(ただし、この名で覚えられてしまってはいるが、英語読みに忠実にするならばアイザック・ダイネセンらしい。イサク・ディーネセンはデンマーク語読み。どちらにしろディネーセンはありえない、ディーネセンである、と訳者)。
ボクのフェバリットでもある「アフリカの日々」の著者。
彼女は英語版ではこの男性名を名乗るが、母国語であるデンマーク語で書くときはカレン・ブリクセンの名前を使った。先に英語で書いてから、自らデンマーク語で書き改め、ほぼ同時に出版するという特異なカタチをとった作家である。そうして書かれた英語版とデンマーク語版で内容にかなりへだたりがある場合があり、この「バベットの晩餐会」はそれに当たるらしい。デンマーク語版の方がずいぶんページ数が多いというのだ。そういうこともあって、この本はデンマーク語版を元にしているので、実はカレンの名前を著者に使うべきなのだが、併録の「エーレンガート」がイサクの版からとっているので訳者も悩んだらしい。結局通りがいいイサクの名前を使用したということだ。
この「バベットの晩餐会」は映画で観ていたが(傑作!)、原作をずっと読まずにいたのでいそいそと。
短い小説だが、予想通りの格調高さ。そして誇り。「アフリカの日々」でも感じたが、この行間から匂い立つような誇りはなんだろう。著者独特の文体だ。
内容的には、ある意味この短編の中に人生のすべてが入っているなぁと思わせる名作。寓話的ではあるが、芸術とはなにかをここまできっちり表現した小説も少ないだろう。併録されている「エーレンガート」もとてもいい。たまにこういう格調高い文章を読むと、現代作家をつまらなく感じてしまう。
2003年12月01日(月) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(海外)
@satonao310