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「ピカレスク 太宰治伝」

amazon三島由紀夫伝「ペルソナ」、川端康成&大宅壮一伝「マガジン青春譜」に続く、著者三部作らしい。
著者の本は初めて。評判が高いのは知っていたが、なんとなく粘着質っぽいのが苦手で避けて通っていた。けど本作は、中学時代にあそこまで凝ったダザイの評伝なので、期待して読んだ。
かなりな労作。太宰の本質を外堀からじわじわ埋め込んでいくその粘着質さはさすがなもの。というか評伝ってこのくらい粘着質じゃないと無理だよねー。
「井伏さんは悪人です」という太宰の遺書の謎を解くことが一応の終着点なので、井伏鱒二の本質にもかなり斬りこんでいて、個人的にはそちらの方が興味深かった。肝心の太宰については、期待した以上に詳細かつ突っ込んだ描き方になっていて(特に前半生)満足はしているが、後半生の彼の心の動き、特に自殺間際の心の動きがいまいち見えてこないのが残念(わざとそうしたのだとは思うが)。
全体に、客観と主観が入りまじり、ちょっと不思議な空気感になっている。膨大な事実の積み重ねに基づく客観と、著者の太宰に対する主観が同程度に混ざっているので、どこまでが事実でどこまでが著者による演出なのかが見えにくい。評伝だからそれはそれでいいのだが、事実の多さに惑わされて、読者は著者の太宰観を絶対的に受け入れざるを得ない感じ。
いや、それはそれでいい。そういう本だから。でも、なんというか、テレビで見る著者の論法そのままだよなーと思って。ちょいと高圧的な「これでもお前は反論するのか!」を感じさせる感じ。ま、面白かったからいいのだけど。
2001年07月01日(日) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:自伝・評伝
@satonao310