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「南の島に暮らす日本人たち」

amazon小さな会社を経営し走り回って生きてきた37歳の著者がある日偶然に癌の可能性を指摘され、いつかはこうしようと考えてきた長期的人生計画を狂わされると同時に、「走り回っただけで終わるのか、こんなはずではなかったのに」と絶望する。結果的には良性腫瘍だったのだが、「もうしたいことを我慢しない、もう自分をみじめにも不幸にもしない」と誓う著者は「すでに南の島でやりたい人生を臆面なく選んでいる人たち」に興味がふくらみ、手術後ひとり南の島に旅に出る。そして、サイパン、テニアン、ロタ、パラオ、ヤップ、と、そこに住む日本人たちの人生に次々に触れていく、というノンフィクションだ。
南の陽光のもとを旅しているのに、とても内省的で静かな文章だ。
著者の人生と日本軍の過去と南の島で生きる孤独などが行間から浮かび上がって来る分、ちょっと重めなのだ。が、しかし、この旅は沈んだまま終わらない。希望をしっかり見せてくれる。最終的に「人はなんでも出来る」という強い自信とともに帰京するのである。ある種「いろんな人生を選んでいいんだよ」という読者励ましの本にもなっている。
2002年10月01日(火) 12:00:00・リンク用URL
@satonao310