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「港湾ニュース」

amazon地味な本である。
でも何故か強烈な印象を残す。丹念に丹念にディーテイルを書き込んでいくあたり先月紹介したアン・タイラーにも似ているが、アン・タイラーが筋に沿ったディーテイルで構築するのに対して、この作者は寄り道的ディーテイルで全体を浮かび上がらせるというより難易度の高い方法を用いている。そういう意味ではアービングにも似ているかも。
途中まで主人公に愛情が持てなくてイライラしたが、そのイライラが物語後半から快感に変わっていくのが面白かった。
多分その客観的な主人公描写が、この物語の舞台であるニューファンドランドの人を拒否する厳しい自然描写とあいまって、特別な効果を生んでいるからだと思う。ここまで計算し尽くして物語を構築したとしたらこの作者並大抵の筆力ではない。長編2作目とはとてもじゃないが思えない。
なお、この本は全米図書賞とピューリッツァー賞をW受賞した上に各賞総ナメ、ベストセラーにもなったらしい。うなずける。
1996年08月01日(木) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(海外)
@satonao310