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「ナイーヴ・スーパー」

amazon帯に「北欧から発信されたベストセラー小説が、ヨーロッパ中で若者たちの絶大なる支持を得た。新ジャンル"ナイーヴ文学"誕生」とある。帯の背表紙には「ブローティガンの再来」ともある。ブローティガンの再来とは思わないが、とても新しい文学だとは感じた。
なんというか、ある「哲学的思考」を生活表層的に描きながら、実は何も語っていない、みたいな匂いが新しい。
また、読みながらとても映像的だと思った。それもビデオ映像的。生活を薄ーく切り取っていき、その薄さに意味を持たせていない感じがとってもビデオっぽい。そしてその刹那な感じがイマの気分をよく捉えていると思う。象徴的なのは「リスト作り」の場面。この淡々としたリストの延長上に人生があるのは、インターネット、ビデオ、ケータイなどの「薄いもの」に囲まれたボクたちの実感にとても近いのではないだろうか。これらの薄さ、ナイーヴさと、文学がきっちりリンクした感じ。
この本は筋というよりは文体を読むべきものだろう。とはいえ、小難しいわけではまるでなく、とっても読みやすくとっつきやすい。そういう意味で訳もとてもいい。
なにも起こらないしなにも結論は出ないが、この小説が描き出すイマの気分に共感を持つ人は多いと思う。日本より先にノルウェイで書かれてしまったのが残念な小説。現代日本こそこんな気分の小説を書くに相応しいとは思うのだが(もしかしたら探せばあるのかも)。
2003年06月01日(日) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(海外)
@satonao310