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「夢奇譚」

amazonキューブリックの遺作映画「アイズ・ワイド・シャット」の原作。
いまから74年も前にウィーンで書かれた物語。フロイトが「わが精神のドッペルゲンガー」と呼んだ著者シュニッツラーの著書は森鴎外がいくつか翻訳しているようだ。
薄っぺらい本だから一日で読める。ただ内容的には薄っぺらくない。かなり心に残った。
主人公(夫。映画ならトム・クルーズ)の意識の流れを克明に追って行くのだが、自分が最良のものとして選んでいる人生(日常、仕事、そして妻)が、自らの内面の真実とズレてしまっていることに気がつき懊悩するに至る心理描写が見事。そしてそれは決して一致するものではない、と持っていくニヒリズムもなかなか共感できるものである。夢とリアルなものの間に境界線は果たしてあるのか。そしてどちらが本当の「心の真実」なのか。深い夜、ベッドに横になりながら自分の心の奥底をしっかり見据えさせる力をこの薄い本は持っている。
映画はまだ観ていないのだが、この「意識の流れ」的原作をどう映画化しているのか、先に映画を観てしまった人には味わえない楽しみが残されているのがうれしい。
1999年11月01日(月) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(海外)
@satonao310