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「幸田文の箪笥の引き出し」

amazon静かに「日本」を想いやれる小品。
幸田文の愛娘が書いた母親の着物を通した懐古の情であり、古き良き日本の美意識への賛歌でもある。母親への思いは痛いくらい伝わってくるが、この本が普遍性を持つのはその母親の存在が失われつつある日本そのものである点。この美しい世界に日本は二度と帰らないだろう。意識して捨てたとしか思えない。
文体も語彙も誠に美しい。ああ、こんな美しい言葉が日本にはあったんだなぁ、と過去形で思ってしまう自分に愕然とする。
「最後の日本人」……この母娘にそんな言葉を思い浮かべてしまう。幸田文の本を無性に読み返したくなる。
1996年09月01日(日) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:エッセイ
@satonao310