カレーは、手で食べると、3倍うまい!

2017年3月27日(月) 10:54:15

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インドで「"南"インド料理」のおいしさに再覚醒した。
いや、いままでも大好きだったけど「どうやらこれは引き返せないくらい強烈に好きである」と確信した。

しかも「手で食べる」と、マジでスプーンの3倍うまい!

いや、ほんと。
単に「手」と「スプーン」というカトラリーの違いと思うでしょ?
もしくは「貧しかったインドの習慣(左手は不浄だから使わない)」とでも思ってたでしょ?

ボクもそう思ってた。
でも違う。
だって「手で食べるとこんな味が違うか〜!」って驚いたもん。


デリー在住の日本人女子に、「アーンドラ・プラデーシュ州(南インドの東側)」の州政府が運営している、いわば「県民食堂」みたいなところに連れて行ってもらったわけですよ。

ま、県民食堂だから現地に限りなく近いと思っていいと思う。
来ている人も色黒な人が多い(南は総じて黒い)。
デリーでは、油と塩がきつい北インド料理より、南インド料理のほうが好まれているとは聞いていたけど、まぁ大盛況なわけです。

で、そこで食べた「ターリー(定食)」が、今回インドで食べた中で一番うまかったわけ。

しかも120ルピー(200円弱)で食べ放題!

※定食をターリーと呼ぶのは主に北インドで、南インドでは定食を「ミールス」と呼ぶんだけど、その食堂ではターリーと表記してた。アーンドラ・プラデーシュ州(以下、アーンドラ州)ではターリーなのかな。それともデリーに合わせてターリーと表記してたのかな。

出てきたターリーは写真二枚目(↓これ)みたいな感じ。

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これが、カレーのわんこそば状態でw

日本の本格的南インド料理店でもたまにあるけど、店員がカレーやおかずやご飯を容器に入れて店内を歩いていて、客の目の前の容器が空いていたらすぐ「More?」と聞いて無理矢理のように入れてくるのである。

だから200円弱で本当に、腹一杯になってしまう。
しかも本場のサンバルが! ラッサムが! ダールが!

って、まぁそれはどうでもいい。
今回は「手で食べるとうまい」の話である。

写真二枚目みたいな状態で出てきても、日本だとスプーンでちまちま食べるよね。
あっちのサンバル、こっちのラッサムというように、小ボウルをそれぞれ味わいつつ、ライスにもかけて、ナンやチャパティにも染みこませて、みたいな。

※南インドは基本的にライス。ナンやチャパティは北インド。ナンはその中でも高級店で食べるもので、庶民は普通チャパティ。

ボクは東京は大森の南インド料理の名店『ケララの風』によく行くので馴れていたけど(「必ず混ぜて食べてください」とマダムに念を押される)、現地では基本的に「全部混ぜちゃう」のだ。

少しずつだけど、最終的には全部、ライスにかけて混ぜちゃう。
二枚目の写真だと、デザート以外7種類くらい全部混ぜちゃう(ヨーグルトも後半、混ぜちゃう)(ライスにかけるときにスプーンを使う)。

で、この「混ぜる」という工程において、手が重要なわけ。

スプーンではなく手で混ぜるのが重要である、ということが今回とてもよくわかった。

周りのインド人を観察する。
みんなカレーをかけたご飯を持ち上げて混ぜている。
平たく横に混ぜるのではなく、縦に混ぜるのだ。

つまり、手でカレーがかかったライスをつまみ、「トスする」のである。

上に持ち上げ、下に軽く叩きつけるイメージ(周りのインド人をよく観察してるとみんな大なり小なりそうしていた)。

トスド・サラダってあるじゃん?
レタスなどをトス(放り投げ)しながら、ドレッシングやオリーブオイルで野菜をコーティングする料理。あれって、オイルでコーティングすることによって水分や栄養素を逃げなくし、葉のシャキシャキ感も保つという、簡単ながらすぐれたレシピなのだけど、あれと一緒。

トスすることによって、カレー同士がライス一粒単位で深く混ざり合い、コーティングする。カレーがよく混ざった状態で一粒一粒に染みこむ。

もしくはチャーハン。
ベチャベチャでなく、パラパラに炒めたチャーハンをうまいチャーハンというけど、あれ、油や卵がご飯粒一粒一粒をコーティングしてパラパラになるように鍋を大きく振って炒めるよね?

その感じ。

ライスは乾いた長粒種で(安食堂だからバスマティライスじゃなかったかも)、パサパサしてる。これがカレーでコーティングされることで黄金色のシトシトになり、ライスの塊ではなくライス一粒一粒がイキイキと主張を持つのだな。

これがスプーンだとそうはいかない。
ベチャベチャと横に混ざるだけ。カレー同士もちゃんとは混ざっておらず、ライスも塊のままでパラパラ感がなく、一粒単位での深いコーティングもない。

現地の人のやり方をマネながら、トスしてみて、初めて「手で食べるうまさ」がわかったわ。
スプーンですくおうが手ですくおうが一緒だと思ってたので、単なるインドの貧しい習慣だと思っていたけど、こりゃ味を二倍にも三倍にもするわ。

で、そうしてトスしたものを、指で上から三角に固め、手ですくって親指で押し出すようにして食べるのが基本の食べ方。

うまい人だとそんなに手は汚れない(ボクの一枚目の写真は超へたくそ)。
それに、食べ終わったあと、食器はツルテカだ。
ほれぼれするくらいキレイに食べる人がいる。

それにしても!
あぁ、ホント、うまかった!

その食堂自体が、異様にうまい。
デリー在住の人も「ここは穴場だけど本当においしい」と言っていた(日本人がひとりで行くにはなかなか勇気がいる場所だけど)。

Andhra Bhavan
https://www.zomato.com/ncr/andhra-bhavan-feroze-shah-road-new-delhi


ちなみにそのデリー在住者は、他にも「北インド料理ならこの店」「ビリヤニで一番おいしいと思うのはこの店」「ベンガル料理も行ってみましょう」「タンドリーならこの店が」「ドーサならとりあえずこの店で」「チャイならこの屋台が最高!」「ここでラッシー飲みましょう、ついでにぜひゴルガッパを」みたいに、いろいろ連れて行ってくれた。

どの店もね、衝撃的にうまかった。

というか、自分の中にようやく「基準」ができた。

あ〜、本場インドで「うまい」と言われる店の味ってこうなんだな、と(少ないサンプル数ながらも)それなりにわかり、いままで日本で食べてきた数百店のカレーやインド料理が脳内でその基準をもとにズララと並び直される感じ。

ま、数店の本場体験なのでたいしたことはないけれど、なんとなく「本場のうまいインド料理ってこうなんだ」というのがわかっただけでも、自分的にはものすごい進化である。

たとえばサンバルでも、「この店のサンバル、うまいんだけど、本場に比べるとどうなんだろう」とかがいままでわからなかった。それがもう多少なりともわかる。それが超うれしい。

あと、自分は「北インド料理」より断然「南インド料理」が好きということもわかった。

断然、である。
目覚めたと言ってもいい。

なので、これから、東京の南インド料理店に行き直す行脚を始めようと思う。

あー、すぐにでも食べ歩きに行きたい!

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター
(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
独立行政法人「国際交流基金」理事。復興庁政策参与。公益社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。東京大学大学院非常勤講師。上智大学非常勤講師。
朝日広告賞審査員。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。
現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。
本名での著書に「明日の広告」「明日のコミュニケーション」(ともにアスキー新書)。「明日のプランニング」(講談社現代新書)
“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(光文社文庫)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。
花火師免許所持。
東京出身。東京在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園夙川芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao[a]satonao.com まで(←スパムメール防止のため、@を[a]にしてあります)。

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