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それでもやっぱり広告人は、企業の凋落をもっと「自分ごと」にした方がいいと思う

2013年3月29日(金) 13:31:36

前回のブログ「シャープやパナソニックやソニーの凋落を、広告人や広告会社はもっと恥じるべきじゃないかな」がやけに賛否両論の反響を呼んでいるようで、見たことのない「いいね!」数がつきました。意見を直接いただいた当人の感覚では、賛否が6/4くらいな印象です(はてブではずいぶんネガな反応をいただいたようですが)。ありがとうございます。反論も多かったので、ちょっと蛇足かなと思いつつ、書いてみます。

内容的に言うと前回のブログは「業界誌や業界人向けの講演ですべき話」なんだろうと思います。前提を共有した人たちに対して「無茶なのはわかってるけどあえて苦言する」みたいな内容なので。

だから業界人の方々にはある程度の理解はいただけたとは思うのだけど(苦言なので嫌われた可能性はあるがw)、それを一般に広く発信すると、特に業界人以外の方から、反発を含めた様々な感想をいただくのは当たり前かもしれません。狭い業界かつ一手段を全能感をもって語っていると思われても仕方ない部分があるからです。なにしろその業界に向かって投げかけた文なので。

ボクは「恥」という言葉を(広告人に対して)あえて使いました。
これはどんな業界の人にも共通して言えることだけど、自分がやっている領域に対して高い「プライド」を持つべきだと思うんですね。つまり、広告人は、広告コミュニケーションという領域に対して高い「プライド」を持つべきだと思います。

そして、そのうえで「もっとその領域が(つまり自分の仕事が)世の中に対して、クライアントに対して、できることがたくさんあるはず」と、常に自意識過剰気味に上を向く必要がある、そのことが社会を少しでも良くし前に進める、とボクは考えています。震災のときもそう考えて動いたし、今後なにか社会問題がおこったときもそう考えて動くと思います。

で、シャープやパナソニックやソニーの凋落についても「もっと(広告コミュニケーションやマーケティングやメディアやコンテンツが)できたことがあったのではないか」と、広告やマーケティング領域を生業とする人間は、当事者意識をもって深く残念がるべきだし、今後はもっとフルコミットしてお手伝いしていく必要があるとボクは思うのです。

でもそれは、たとえば他の領域の人たちから見たら「しょせん広告が何言っちゃってんの」「単なる一手段がしゃらくせえんじゃー」みたいに自信過剰&傲慢に見える。
だいたい、家電不況は構造的で、世界情勢や企業戦略が大きな要因である上に、広告なんていう一手段がなにかに影響を与えるとか、本当のファンを作るとか、そんなの考えすぎかつありえない。というか、広告会社みたいな単なる発注先がなに感傷めいた反省なんかするんだよ。おこがましい。そんな風に思えたのは申し訳なかったと思います。

でも、前回のブログは「広告コミュニケーション領域の人たちへの投げかけ」であり、「自分たちの生業であるこの領域に高いプライドを持っていることを前提としている話」なので仕方ないのかなと思います。
しかも、「広告は受発注産業から脱皮しないといけない」という論は広告業界ではずいぶん前から言われていたことなので、それも前提に話をしているので、、、って、書いたボクが不親切すぎたということですね。すいません。不快感を持たれた方々には申し訳なかったと思います。内向きの話題を外でやらかしちゃいけません。

とはいえボクは(広告人に対しての)主張は変えません。

広告は(あえて『広告』という古くなりつつある言葉を使いますが)、企業の凋落をもっと自分ごとと捉えるべきです。

凋落自体は企業の経営や商品力、社会の流れなどに大きな要因があるでしょう。
でも「そういうこと」と嘯いて他人事でいていいのかどうか。もし広告コミュニケーションがそこに何も関与できていないとしたら、そもそも広告は何のためにあったのか。表現やマーケティングやイベントや販促はいったい何をしてきたのか。

今後、広告コミュニケーション領域は、もっと企業に長期的にフルコミットして臨むべきだし、生活者とのロングエンゲージメントをより深く築き上げるお手伝いをもっとしていくべきです。そうしないと、手段としての広告は「短期的露出」という狭い分野に押し込められ、マーケティングの隅っこに追いやられるでしょう。
クライアント側のオファーがそういうことだった、ということもわかった上で、また、クライアント側の事情で提案してもかなわないことがたくさんあることも痛いほどわかった上で、そして、一方通行的なマス広告の限界もわかった上で、そう思います。

メーカーの現場の方から意外と多くのメールをいただきました。
「現場から見ると、企業も(そして広告も)目の前の売上ばかりを見てきて、本当のファンを作っていくことを怠ってきたのかもしれません」というようなご意見が多かったです。でもそこは「広告人が大きくお手伝いできる領域」なはず。こういった言葉を真摯に受け止め、やり方をスピーディに変えて臨まないとといけないと思います。

なお、光栄にも大御所おふたりから言及いただきました。

やまもといちろうBLOG「広告考」
日本経済新聞 ソーシャルメディアの歩き方(藤代裕之)「家電不況が引き金、転換迫られるネット時代の広告戦略 」

返歌にもなっていない蛇足文ですいません。ありがとうございました。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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