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執筆でぶちあたる3つの壁(ボクの場合)

2013年1月13日(日) 17:28:13

先週は毎日のようにおもろいことがあり、ブログに書きたいことだらけだったのだけど、一方で本の〆切がシビアに迫っていて(というか、すでに一回延ばしているw)、なかなかブログを書く余裕がないですね。

どちらも「文章」なので、なんかバッティングするんです。

おまけに仕事と講演とジムもあり、そのうえ先週は毎晩飲み会がおもろかったこともあり、さらに少しわくわくする自主企画もあり、わりと精一杯かも。

でもまぁ毎日上機嫌に生きています。
カラダを鍛え始めてから考え方もよりポジティブになってきました。

それにしても執筆というのは、ぶち当たる壁がいくつもあってしんどいわw

いままで10冊近く出しているけど、何冊出してもいっしょ。同じところに壁があり、しばらくは越えられない。

人によって違うだろうけど、ボクが執筆においてぶちあたる壁は大きく3つ。

1)伝えたい相手を絞る壁
2)書き出しの壁
3)破壊の壁

1の「伝えたい相手を絞る」なんて、そんなもん最初から決まってないのー!? と思う方も多いかもしれない。

でもね、広告もそうだけど、伝えたい相手がきちんと絞れているコンテンツって実は意外と少ないと思うですね。

作り手(書き手)はどうしても広く大勢に伝えたいと思ってしまう。
でも、99.996%の情報はスルーされる(2011年総務省「情報流通インデックス調査」)と言われるこの情報洪水時代、そんな「伝える対象が広くぼんやりとしているコンテンツ」なんてなかなかヒトに届かない。伝えたい相手にちゃんと「自分ごと」と思われないと届かない。つまりシャープに絞る必要がある。

とはいえ、作り手が伝えたい内容はそこそこ「広い」ことが多いので、相手を絞りきれないわけですよ。
たとえば広告についての本を書こうと思ったら、広告マンから宣伝部員、経営者から学生、一般人までターゲットはいくらでも広げられる。でも、絞りきれないまま書き始めると、なんだか「芯」が入らない。ぼんやりふわふわした原稿になる(当社比)。なので「どんな人を中心に読んでもらうのか」をもっともっとシャープに絞らないといけない。

今回も、なんかふわふわしてんなー、と思いながら年末まで書き進めてきて、予想通り壁にぶち当たったですね。
で、元旦に反省をして、具体的に伝えたい相手の顔まで思い浮かべて絞りきる作業をしたんです。いやほんと、何冊書いたら教訓にするんだって話ですよまったく。

ちなみに、伝えたい相手を絞るということは、その絞った少数にしか伝わらないかというとそうでもなくて、それだけ主張がシャープになるから、逆に内容的にはおもしろくなり、結果的に多くの人に伝わったりします。

2の「書き出し」についてはね、もう苦しみまくるですね。
いわゆる「はじめに」のところ。第1章の前。そこの書き出しです。

もうね、何度も何度もやり直し。昨日「これでいい!」と気に入っていても、朝起きるとまた変えたくなる。

でも、ここの文体と書きっぷりで(ボクの場合)本文すべてが決まると言ってもいい。

今回は第3章くらいまで書いてから、「はじめに」に違和感が出て来て、「はじめに」を書き直したですね。
そしたら今度は、第1章がしっくり来なくなったわけです。で、そこを手直ししているうちに第2章第3章のつながりもおかしくなり、文体も統一感がなくなり、結局はじめから書き直し(笑)。しかもその後、何度も何度も書き直していて前に進まん!

執筆に3ヶ月かけるとすると、そのうち2ヶ月くらいは出だしでウジウジしてるんじゃないかな。あくまでもボクの場合だけど。

「明日の広告」「明日のコミュニケーション」も出だしが決まってからは迷いがなかったです。出だしがいい感じで決まると(自己評価的には)いい内容になります。文体にも迷いがなくなる。

いま書いている本も、とにかく「書き出し」が決まれば、と、必死です。
なんとなく決まりかけているけど、もうちょい決まらない(ずぅーっとお待たせしてる編集者の方に「まだ出だしで悩んでるのかよ!」と怒られそうだ)。

3の「破壊」は、なんというか「まとまりを壊す」みたいなこと。

書きたい内容が決まっていて、伝えたい相手が具体的な個人まで絞られて、出だしも決まる。
そうするとわりとするっと書けるのだけど、今度は「するっとしすぎ」になる。わかりやすすぎるというか、引っかかりなく読めちゃうというか、テンションが一定でメリハリがない原稿に(ボクの場合)なっちゃうことが多いです。

なんというか、どこかで少し「破綻」があった方がいいんですね。
で、その破綻の部分を逆にヒトはよく覚えてくれていたりします。「あそこが面白かった」とか。

作者的には「え、そこ!」とか驚くのだけどw でもそんなもんなんでしょう。「明日の広告」の場合は、ホストの話が唐突に数行入ったりするんだけど、意外とそこを読者が覚えていてくれたりする(いまでも言われる)。そんな小さなテンションが全体の勢いを高め、ゴツゴツした引っかかりを作る気がします。

その破壊というか破綻を作るのがわりと難しく、入稿直前まで悩むのだけど、まぁでも3の壁は、1と2が無事にできたずっと後。

全体を俯瞰してメリハリをつける作業だし、調子よく書けているときは自然とやっている場合も多いわけで。

とにかく、まだ2なんですねー。
毎日追いつめられているけど、なかなか「書き出しの壁」をクリアできません。

まぁ内容的にはずいぶん書きためたものがあるので、出だしさえきっちり気持ちよく決まればあとはイキオイだと思うんだけど・・・もうちょい悩みます。

てなことで、また。

p.s.
いま書いているのは「プレゼンテーション」の本です。
松村先生のインタビュー本(仮題「医師が脳腫瘍になって考えた生と死」)については、インタビューは8割方終わり、あとはまとめに入る段階。それ以外の3冊については・・・構想が固まってきた、という感じです(担当編集の方々、すいません)。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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