題名でちょっと損してるけど、めっちゃ面白い!「ソーシャルトラベル」
2012年12月26日(水) 9:19:32
「ソーシャルトラベル 旅ときどき社会貢献。」という本を読んだ。うーん、面白い。オススメだ。
著者は本間勇輝さんと本間美和さんというご夫婦。
章ごとにどちらかが書いている。ふたりとも文章がとてもうまい。素直で、ライブで、本音が出ていて、気持ちがよく伝わってくる。そして読んでいるうちに一緒に旅行し、一緒に悩み、一緒に涙している気分になる。
ベンチャーで成功していた旦那さんと出版社で希望の編集者になれていた奥さん。
日々の都会生活に疑問を持ち、すべてを捨てて2年間の世界一周旅に出て、インド、ネパール、マラウイ、チリなどで現地のヒトと親しく関わり合っているうちに、なぜか学校を作ったりイベントを仕掛けたり商売を教えたりすることになる。
その辺の巻き込まれ方が自然でとてもイイ。
彼らの目的はあくまでも「旅それ自体」なのだ。「社会貢献をしよう」という目的はない。社会貢献という目的を持ってしまうと、旅は手段になり、どこか無理矢理感が出てくるが、彼らの場合それがない分、「役に立てているのかな?」「意味などあるのかな?」「偽善じゃないの?」と悩みながらの活動になっている。そこがいい。
というか元々社会貢献みたいなキラキラした感じのものがキライな夫婦だったようだ。その辺の葛藤の部分が冒頭に正直に書かれており、とても共感できる。
ただ、題名にも副題にもショルダーコピーにもその感じがあまり感じられず、ちょっと「イイコト系」な雰囲気があるのが惜しいところ。
副題には社会貢献という言葉が入っているし、ショルダーコピーには「価値観をシフトする新しい旅のかたち」と書いてあったりする。新しいコンセプトの提示にはなっているけどその辺、なんというか、少し損だと思う。
だって「真面目な絶対善の話かしら」「社会貢献とか苦手だな」と第一印象で思ってしまったヒトが書店で手にとらなかったらとても残念だ。なによりそういうのに興味ないヒトにこそ手にとって欲しい本だから。そういうヒトの気づきになる本だから。
実際はもっと、なんというか「水曜どうでしょう」的な旅なのだ。
出たこと勝負の気まぐれ旅。それが基本である。まぁ最後のインドでの活動は狙ってやっているが、でも全体に流れるトーンはもっと自然なもの。彼らは決して社会貢献をしているのではなく、その類い希なる社交性で現地のヒトに溶け込み、心を許され、ベンチャーや編集者の経験を活かして彼らの悩みに解決策を提示していっているだけ。
そういう意味では、社会貢献というよりは「現地化」に近い。
そんな旅だからボクたちは共感する。すっと社会貢献的イイコトに入っていける。その良さが(内容では100%出ているのに)題名回りではちょっと感じられにくいのが唯一残念なところ。
まぁでも面白いし、新しい旅のかたちでもあると思う。
観光旅行とは充実感が違うだろうし、現地に自分のかけらを置いてくるような、そんな深い関係が今後の人生をきっと豊かにしてくれることだろう。それはたとえば東日本大震災のボランティアツアーと近い感じかもしれない。
ちなみに彼ら夫婦は、いま「東北復興新聞」という新聞を発行している。
これも彼らなりの「現地化」だ。フットワークが軽くて素晴らしいと思う。
