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ノマドって「企画の超重要な部分」が抜け落ちる 〜新オフィスに入居しました

2012年10月 9日(火) 9:12:53

先週の10月5日は、スティーブ・ジョブズの命日であり、ビートルズのシングル・デビューの日。

その日、ボクの小さな会社 (株)ツナグ は、小さな新オフィスに入居した。

新オフィスに入居して初めてしたことはマックブックエアーの電源を入れたことだし、引越のBGMはもちろんビートルズ。ジョブズとビートルズに見守られての入居だった。写真は入居した朝のオフィス。まだ家具が何も入ってない状態。借景に青山霊園の緑。

電通を辞めて(株)ツナグを作って約1年半になる。

最初は社員ひとり(ボクだけ)。
辞めたタイミングでたまたま東日本大震災が起きたので、最初の1年弱はほとんど震災支援活動のみ(助けあいジャパン)。つまりほとんど稼いでない。社員もオフィスも特には必要ではなく、いわゆる流行の「ノマド」でやってきた。

でも、生きるためには稼がなくちゃ。いつまでも支援だけでは干上がってしまう。

なので、去年末くらいから本業の「広告コミュニケーションやソーシャルメディアを中心とした領域感のないいろいろな仕事」も受け始め、本格的にビジネスを始めたですね。とはいえ急に仕事が来るわけでもなく、遅々かつじわじわなんだけど。

で、本格的に始めた後も、基本的にはやっぱりノマド。
オフィスを持つなんて発想はなかったなぁ。時間的にも余裕がなく、ただひたすら動き回っていた。

ただ、少しずつ違和感みたいなものを感じ始めてもいたですね。

なんか企画が広がらない。

ノマドはとても効率的だ。
必要な時間だけ相手のオフィスに行き、打ち合わせを済ませる。最寄りの素敵なカフェとか入って企画したりぼんやりしたりする。会いたい人に連絡とって会って刺激を受け、企画を広げる。落ち着きたいときは家でじっくり自分の企画と向き合える。おまけにオフィスの家賃も光熱費もかからない。なんて素敵な生活!

でも、ここには「企画の超重要な部分」が抜け落ちている。

無駄、だ。
具体的に言うと「くっだらない雑談みたいなもの」だ。冗談のキャッチボールだったり、下ネタのやりあいだったり、だらだら無言の重苦しい1時間だったり。

もちろん相手先の会議室とかでも雑談はする。
でも、時間の主導権は相手にあり、一定時間が経ったら移動しないといけない。2時間あったとしても、冒頭にちょっと雑談が入り、終わりの時間が近づくと自然と発想が「まとめ」に入るから、企画を広げる時間は意外と短く1時間ちょいくらい。当たり前だけど、それだと「企画がジャンプしない」のである。

無駄話を延々とだるくなるくらい続けた挙げ句、思いも寄らないくだらない話が元の話と結びついて、ビヨ〜ンとクリエイティブ・ジャンプするときのあの快感。たとえばそんなのがないのである。

もちろん効率よくいい企画が生まれることもある。
でも、なんとなく「考えきってない残尿感」がある。最寄りのカフェとかで「この残尿感をどうにかしよう」と思って集中しても、自分の中からそんなに新鮮な発想が次々生まれてくるわけもない。

無駄。そう、無駄が大事。
無駄な雑談だけでなく、他のことやりながら「そういえば昨日山中教授がノーベル賞獲りましたね」みたいな別の話がちょこっと出るような環境がとても大事。打ち合わせ相手や企画相手とずっと長くいられる場所が絶対必要!

折しも(株)ツナグに仲間ができた。
「雑談相手が絶対必要!」と思っていたタイミングで、縁あって2人の仲間を持てた。仕事の喜怒哀楽を共有する仲間。雑談できる気の合う仲間。

最初はシェアオフィスで充分かと思って、あるところと契約した。

でもね、シェアオフィス、ここがまた「効率的すぎる」ですよ。
当たり前だけど、めっちゃオフィスなんですね。オフィスすぎるくらいオフィス。これでは雑談が生まれにくい。しかも会議室は時間制。「無駄話を延々と」とか「なんでもない雑談」なんてできるわけもない。

無駄な雑談をするためには「親密で時間制限なくいられる空間」を自分たちで作り上げないといけないんだなぁ、と実感した次第。

というわけで、新オフィスを探し始めたのが6月だったかな。
3ヶ月かけていろいろ探し回り、ようやく気に入る物件にぶち当たり、入居に至ったというわけ。

メゾネット式の小さな小さなオフィスだけど、窓外の緑がキレイです。
立地もわりと落ち着いた場所。そのうえ乃木坂駅、六本木駅、青山一丁目駅から歩けて便利。すぐ近くに人気のカフェやビストロがある。

いちから空間を作るのはとても楽しいですね。
質素だけどお洒落な家具を揃えて、親密で長くいられる空間にするつもりです。

でもまぁ約1年半ノマドをやってよかったな。
街と親密になれた。いろんなカフェを知った。相手先で出るコーヒーとかお茶にとても感謝をするようになったw

そして、企画の大事な部分を再認識できた。

そんなこんなで今月から新オフィスです。
まずは仲間たちとの無駄な雑談から始めます。いい企画、お持ちしまっせ!

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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