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組織や肩書きに頼らず「自分」を晒して生きるということ

2012年3月22日(木) 10:31:40

昨日の「ネットで『個』を発信できるのは、当たり前なことではなく、実にラッキーなこと」というエントリーにたくさんの反応をどうもありがとうございます。

ということで昨日の話の続き。

津田大介くんとのプレゼン&トークセッション。
第二部は「企業の中の個の発信」という難しいテーマに敢えて挑んでみた。

ボク自身、電通という大企業に属していた当時、「組織」人と「個」人のバランスに悩んだ時期があった。
でも、ブログ時代からソーシャルメディア時代に移行していくに従って、その悩みは薄れていった。ソーシャルメディアの普及によって、圧倒的に、しかもリアルタイムで自分(個)をさらけ出す機会が増加した。そして、さらけ出す機会が増えれば増えるほど、生活に裏表がなくなっていった。組織人とか個人とかという区別や境目がどんどん自分の中でナンセンスになっていった。

日本の組織人って組織への所属意識がとても強いので、「組織人であること」が人生の優先順位の上のほうに来る。自己紹介でも「○○の佐藤です」と所属組織名が先に来る。

でも、生活に裏表がなくなるに従って、そこに違和感をどんどん感じていった。
「佐藤です」と自己紹介し、必要があったら会社名を名乗る感じになった。ソーシャルメディアで「個」をさらけ出すことが圧倒的に増えた結果、組織名がどうとかという意識が自分の中からどんどん消えていった。


ボクは、ソーシャルメディア時代、「個であること」ほど、大切なことはない思っている。

独立してひとりで生きろ、とかノマドしろとか、そういう意味ではなく、組織や肩書きに頼らず、「自分」を晒して生きることがとても大切だと思っている。

なぜなら、ソーシャルメディアは「個」と「個」のつながりでできているから。

「個」と「個」のつながりのみででき上がっているメディア上では、「個である自分」しか人はつきあってくれない。

だから、ソーシャルメディア上では、「組織」人ではなく「個」人としての発信じゃないと、信用も共感もされない。
首相とか、社長とか、部長とか、肩書きや役職を元に発信しても、「信頼」や「尊敬」や「共感」を得ることはとても難しい。どんなに偉くても、組織内で実績があっても、それがポジショントークである限り、誰も耳を傾けてくれない。

組織内では当然のようにあるヒエラルキーは、ソーシャルメディア上では存在しない。上下関係もなく、フラットに「個」と「個」がつながっているのがソーシャルメディアだ。そこに組織のポジショントークを持ち込んでも「信頼」や「尊敬」や「共感」が得られることはない。


企業にいると「個としての発信」がしにくいという方がいる。何を発信していいかわからないという方もいる。特に肩書きが偉い人に多い(若い人はそんなこと意識せず普通に発信していると思う)。


禁止されているなら仕方ないけど、そうでないなら、単に「組織人としてのポジショントーク」に慣れてしまっているだけだと思う。くり返しになるが、組織のポジショントークほど共感されないものはない。組織人である自分から意識して離れる訓練が必要だ。

自分から「組織」という分厚く手厚い「鎧」を引っぺがしてみる。
そこに残る痩せた頼りないものが「自分」だ。
でも、そこを見せて発信していかないと、「個」と「個」のつながりでできているソーシャルメディア上で人とつきあっていくことは難しいだろう。

と、ここまで書いて仕事に行く時間になってしまった。

じゃぁどうやってその痩せた頼りない「自分」が共感を獲得していけばいいのか、ということについても当日話したので、そのことについては次回に書いてみたい。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター
(株)ツナグ代表。(株)4th代表。独立行政法人「国際交流基金」理事。復興庁政策参与。公益社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。東京大学大学院非常勤講師。上智大学非常勤講師。
朝日広告賞審査員。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。
現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。
本名での著書に「明日の広告」「明日のコミュニケーション」(ともにアスキー新書)。「明日のプランニング」(講談社現代新書)
“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(光文社文庫)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。
花火師免許所持。
東京出身。東京在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園夙川芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao[a]satonao.com まで(←スパムメール防止のため、@を[a]にしてあります)。

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