ボクがいま使っている手帳を選んだ理由

2011年10月31日(月) 9:57:12

明日から11月である。
この時期、雑誌で来年の手帳の特集が多くなる。一時は食い入るように読んだものだ。なかなか気に入る手帳がなく、あれを使っては気に入らず、これを使ってはガッカリし、自分の定番が決まっていなかった。どこかにいい手帳はないものか。自分にぴったりな手帳を見つける旅は長く続いたのである。

一時はデジタルで決まりだとも思った。
でも、デジタル・スケジュール帳(たとえばGoogleカレンダー)の弱みは「仮の予定」「ちょっとしたメモ」「備忘録」などがつけにくいこと。これが意外と重要だ。

あと、デジタルだと、スケジュールがいつの間にか「他人とのアポ」のみで埋まる「アポ帳」になってしまう。

まぁ「スケジュール帳ってアポ帳のことでしょ?」と考えている方にはこれでいいのだが、他人とのアポで人生が埋まるということは、他人の人生を生きているようなものなのだ。「自分のやりたいこと」「自分の夢」「わくわくする楽しいこと」などの「予定」や「メモ」を書きいれてそれを実現させていくのが、ボクにとっての「手帳」なのである。

他人とのアポでなく、自分とのアポを取る(自分の時間を予約する)。

そういう考え方をするようになってから、手帳の使い方が180度変わったし、人生もとても充実するようになった。

そのきっかけをくれたのは佐々木かをりさんである。

ちょうど2年前のいまごろ初めてお会いしたのだが、テーブルに手帳を広げて話をしていたら、いきなり「それ、佐藤さんの手帳ですか? そんな手帳、すぐ捨てた方がいいと思う」とおっしゃったのである(文字で読むとイヤな人みたいだが、とても感じよくそうおっしゃった)。

まぁ彼女が「アクション・プランナー」という、ご自分でプロデュースしている手帳を出しているのは知っていたから、「お、営業か?」と構えたのだがw、ボクも手帳遍歴が長く、悩んでいたこともあって、親しくなってから「ええと、この手帳のどこがダメですか?」とおずおず聞いてみたのである。

そのときボクが使っていたのは、左ページに縦に日付が1週間分並び、右ページがメモになっている一般的なもの。左ページが1日分のものや「ほぼ日手帳」的なものまでいろいろ使った挙げ句、一番一般的なもの(ただしデザインがオシャレなもの)に戻っていたのである。

佐々木さんは3つ指摘してくれた。

1)空き時間がひと目で把握できない手帳は、空き時間を有効活用できないし無駄も多くなる。自分の予定が俯瞰できて、パッと目に「見える」ことが重要。

・・・確かになぁ。
たとえば13時に「S社打ち合わせ」と書いてあり、15時に「役員会議室」とか書いてあって、そのアポ自体は把握できるが、間に時間が空くのか空かないのかがひと目ではわからない。本人はなんとなくはわかっているが、全体で俯瞰してみて「あ、ここ1時間空いている!」みたいにパッとはわからない。予定がバラバラに入っていてやけに忙しい感じになっているが、実は間がスカスカと空いていたりする。確かにそれは「見える」方がいいなぁ。

かといって、細かく線を引いて予定を区切るにはスペースが狭すぎる(スケジュールが左ページに詰め込まれているから)。字も細かく書かないといけなくなるが、予定が次々入ってくる日などはこのスペースには書ききれず、ぐじゃぐじゃになってしまう。うーん、やっぱこの手帳じゃダメか。

「空いている時間を埋めて効率的にもっと仕事しよう、っていう意味ではないんです。あ、ここで30分空いてる! だったら欲しかったアレを買ってこよう! みたいに、自分のしたいことができる時間が発見できる。それが大事」

なるほどねぇ。
たとえばGoogleカレンダーを使っている人はわかると思うが、あれは予定を「枠」で管理する。空き時間がひと目で把握できるのだ。つまりはそういう風にしないとダメということね(デジタルだと上の方で書いたような欠点があるけど)。

2)「他人とのアポ」に自分の人生を左右されてはダメ。自分とのアポを取る。自分の時間を予約する。それが重要。ほとんどの手帳が「他人とのアポ帳」としては使いやすいかもしれないけど、自分とのアポは取りにくい。自分を予約する手帳じゃなくちゃ。

・・・これは根本的な指摘だったなぁ。
他人とのアポばかり書き入れていると、他人の予定に自分を合わせ、他人の予定に振り回される毎日になっていく。なんだかわからないけど忙しい状態というのがそれだ。もっと主体的に「自分の時間」を予約して、自分がしたいことを主に、他人とのアポを従にしていくだけで、人生は大きく変化することだろう。

「そのためにも『自分の時間が見えること』が大切なの。空き時間が『見える』ことはもちろん、たとえば木曜の夜の7時から9時までは自分の時間として枠を取ってブロックする、他人とのアポは入れない、みたいな『見える化』が必要。それには見開きバーティカル式(時間軸が縦のもの。上の写真のような感じ。Googleカレンダーもバーティカル式)にして、1週間単位で枠が『見える』のが一番!」

そのときはまだ「バーティカル式って使いにくそうだし、メモ欄ないし」とか思っていた。いまでは「バーティカル式じゃない手帳を使っていたとき、いったいどうやって時間管理していたんだろう」と不思議に思うくらいである。もう戻れないなぁ。

「あと、バーティカル式でも、土日が月〜金と同じスペースであることが大切。土日だけ小さいスペースになっているのあるでしょ? 土日の方が『自分の時間を予約』したいことが増えるのに」

御意。土日の方が「自分予約」することが増えまする。

3)手帳を過去のために使うか、未来のために使うかが重要。「日記帳」「メモ帳」みたいに使っている人が多いけど、手帳って、自分の未来を自ら作るためのシナリオ帳だと思う。

・・・これは盲点っぽい指摘だった。
「○○で夜ご飯」とか「映画『○○』」とか、日記的に書き入れるのもいいけれど、自分のほんの少し先の「未来」をどう作っていくかということこそ、確かに手帳の出番だよなぁ。

「もちろんやったことを書いてもいいの。でもそれだけじゃ手帳としてもったいない。実現したいことを実現していくために使えればもっといい。そのためにも『空き時間がひと目で見えること』が大事」

英語を勉強したいなら、どの空き時間を使うかを決めておく。もしくはたとえば毎朝6時〜7時を勉強の時間と決めて帯で取っておく。週末土曜の午前中を勉強のためにあらかじめ押さえておく。それを「枠」で表示することで、1週間にどのくらいの時間を確保しているかが「見える」。そうやってどんどん「見える化」することが大切なわけですね。

「それとね、予定とメモを離して書いてはダメ。予定の枠内にやりたいことのメモや『ToDo』を書くの」

これは最初は抵抗あった。
左ページに予定を書いて、メモは右ページに書く、みたいな習慣が長かったせいもあるけど、メモはメモとして書きたい。第一「枠内」に書くなんて無理。もっとたくさん書きたい。バーティカル式はとてもいいけど、メモ欄がないのだけが不満だった。

でも、いまならわかるな。
ToDoって枠外に書いても、じゃぁそれをいつやるのか、が漠然としていて効率が悪いのだ。
新幹線のチケットを取る、というToDoがあるなら、ちょうど空き時間がある水曜の11時の枠内にピンポイントで書いて「自分を予約する」と、ToDoが次々達成されていく。

それに、メモって別個に書いておいても意外と見直さない。
でも、会議があった枠内に簡潔にメモしておくとわりと見る。次の会議のときにさっと見直せる。あのメモどこに書いてたっけ、みたいなことが起こらないうえに、簡潔に書くクセがつく。なんでもメモって仕事した気になることがよくあるが、あれって単なる思考停止だ。

「あと、小さな手帳だと『枠』が小さくなっちゃって、メモ書く部分も小さくなっちゃうから、見開きでそこそこ大きな手帳の方がいいと思う」

小さな手帳を使っていたボクはそこにも抵抗があったが、「だってマックブックとか持って歩いているじゃない」と言われて、まぁそりゃそうだ、と。もうちょっと大きな手帳でもいいかもな、と…。


てな感じで見事に洗脳され、上記のような条件がすべて揃っている「アクション・プランナー」をまんまと使い始めたわけだけどw、使い始めて2年、もう手放せなくなっている。

スタッフと共有するためにGoogleカレンダーと併用しているが、デジタルのスケジュール帳は上の方で書いたように「仮の予定」「ちょっとしたメモ」「備忘録」がやりにくい。自分を予約して自己実現するのにもいまいち使いにくい。だからメインの手帳は「アクション・プランナー」なのである。


この手帳に辿り着くまでに、学生時代から30年かかった。
佐々木さんにはとっても感謝している。この手帳にしてから「毎日が未来につながっている」感が強くなった。とても主体的かつ充実するようにもなった。

ちなみに書店などではほとんど売ってない(ロフトでは売っている)。
サイト経由でアマゾンで買えるようなので、興味ある方は、ぜひ。(カバーが55色あるので、直接アマゾンに行くよりサイトで選んでからの方がいい。ボクはいま左の写真のを使ってる。次回は赤いのを買おうと思っているw)

ちなみのちなみに、先週、佐々木さんに会ったら、手帳の効率的な使い方を書いた新刊を出されるそうである。ボクはラッキーにも佐々木さんに個人教授してもらったが、本があるならそれはそれで便利。読んでみようと思う。読んだらまた書きます。

※追記:
自分で枠を作る感じがわかりにくい方はサイトのこのページにやり方が書いてありました。見てみるとイメージつかめるかも。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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