髙野悦子さんの命日に

2011年6月25日(土) 16:35:35

昨日は髙野悦子さんの命日であった。

若い人は知らないかもしれない。「二十歳の原点」という本の作者というか「日記の書き手」である。

あの本を読んだ20歳の昔から、6.24の夜は特別であった。
髙野悦子さんと飲むのである。うはは。キモイ? まぁでも許せ。本を片手になんとなく彼女の人生に思いを馳せる。もちろん知り合いではない。遠い存在の人だ。でもボクの青春は、一時期彼女とともにあった。


そういう方は他にも多いのだろう。

昨日の朝、「今日6月24日は髙野悦子さんの命日。『独りであること、未熟であること、これが私の二十歳の原点である』。若い時、何度も何度も反芻した彼女の言葉。」とツイートしたら、たくさんの方から言葉が集まった。

みなさんの言葉をTogetterにまとめてみた。
「二十歳の原点」の髙野悦子さん命日Togetter

昨晩はめずらしく酒抜きで彼女を偲んだ。
文庫本をぱらぱらとめくりつつ、冷静に「いま生きている自分」を彼女に晒してみた。とても痛かった。

久しぶりに彼女が死ぬ直前の詩を書き写してみたくなった。
この中の「出発の日は雨がよい」というフレーズは、いまでも何の気なしにふと口をつく言葉だったりする。出発の日は雨がよい。そう、出発の日は雨がよい。

旅に出よう
テントとシュラフの入ったザックをしょい
ポケットには一箱の煙草と笛をもち
旅に出よう

出発の日は雨がよい
霧のようにやわらかい春の雨の日がよい
萌え出でた若芽がしっとりとぬれながら

そして富士の山にあるという
原始林の中にゆこう
ゆっくりとあせることなく

大きな杉の古木にきたら
一層暗いその根元に腰をおろして休もう
そして独占の機械工場で作られた一箱の煙草を取り出して
暗い古樹の下で一本の煙草を喫おう

近代社会の臭いのする その煙を
古木よ おまえは何と感じるか

原始林の中にあるという湖をさがそう
そしてその岸辺にたたずんで
一本の煙草を喫おう
煙をすべて吐き出して
ザックのかたわらで静かに休もう

原始林を暗やみが包み込む頃になったら
湖に小舟をうかべよう

衣服を脱ぎすて
すべらかな肌をやみにつつみ
左手に笛をもって
湖の水面を暗やみの中に漂いながら
笛をふこう

小舟の幽かなるうつろいのさざめきの中
中天より涼風を肌に流させながら
静かに眠ろう
そしてただ笛を深い湖底に沈ませよう

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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