「歌う」から「動く」へのシフト

2011年5月17日(火) 8:00:24

というわけで、「WorldShift Forum 2011」に参加してきた(昨日参照)。

登壇したのはセッション3『コミュニケーションと社会のシフト』。
並河進くんと上田壮一くんとの3人セッションで40分。他のセッションはスライドを使ったプレゼン込みだったが、ボクたちは3人ともスライド・プレゼンなしで、対話を重視して進めていった。

まず、規定お題として「何から何へのシフトが起こるのか(起こすのか)」をひとりずつ語った。
ボクは「歌う→動く」というテーマで、ここ十年くらい、折に触れて考えてきたことをお話しした(写真は@ikeyuさんのツイッターから拝借)。

それは「ジョン・レノンの『イマジン』は、なぜブッシュの戦争を止められなかったのか」ということ。

世界中であの美しいコンセプトを共有し、あんなに何度もみんなで歌ったのに、止められなかった。ブッシュだけでなく、ブッシュ以降のいくつもの戦争や不幸を止められなかった。

「イマジン」は、もう今後これを超えるものはないだろうと思うくらい、世界中で広く共有された。
でも、世界中のみんなが歌っても、戦争は止められなかった。

もちろん、あの歌によって世界の意識は確実に変わったと思う。でも戦争は止められなかった。
ボクたちはゴールを示すだけで満足してしまったのではないか。コンセプトだけで満足してしまったのではないか。歌うだけで満足してアクションを起こさなかったのではないか。

いや、もちろん動いた人はいた。強い意志を持って行動する人もいた。
でも、世界中にバラバラに存在していた。それは全体から見たらとても少ない(悲しいくらい少ない)数であった。その、バラバラに存在する人々、そしてそれに続く人々をひとつにするのに、「歌」というのは素晴らしいプラットフォームでもあった。でも、歌だけでは足りなかった。

しかし、いま、われわれは新しいプラットフォームを手に入れた。
それは「ソーシャルメディア」という新しい行動装置。

ボクはソーシャルメディアを過大評価はしない。
過大評価はしないが、「いままでバラバラに孤立していた『関与するタイプの人々』がソーシャルメディアによってつながった」のは確かだと思う。

そして、「関与したかったけど関与するには至らなかった人々」をも結びつけた。
RTや「いいね!」は、「この考えに賛同する、いいと思う」という、控えめながらも立派な「発信」だ。いままでメディアや本やブログで発信するまでには至らなかった人々がこうして大量に発信し参加するプラットフォームができた。しかも、その参加は、バーチャルだけではなくリアルも伴い、必然的に「動く」ことにつながっていく。リアルとの境目がどんどんなくなっていくのがソーシャルメディアの特徴だからである。

こうしてようやく「動くプラットフォーム」が出来た。
もう「関与する人々」「関与したい人々」はバラバラではない。ソーシャルメディア以前なら結びつくはずもなかった人々が結びつくことが出来た。そしてリアルとの境目なく「動く」ことが可能になった。

いまこそ、「歌う」から「動く」へシフトできるのではないか。

「イマジン」のような美しいコンセプトを歌うだけに終わらず、泥臭くても「まず動く」。そんなシフトの入り口に、ようやく我々は立てているのではないか。


・・・みたいな内容w(青臭くてスマソ)

なんというか、いままでは「歌う」しかなかったけど、これからは「動く」ことができる、という単純なシフトをお話ししてみたですね。「イマジン」を否定しているわけではないので、「イマジン」ファンの人、クレームを送ってこないように。

たとえば今回、東日本大震災への対応で何も動かなかった企業は、もう二度と「社会をよくする」とか「人間にまっすぐ」とか、広告や広報で言えなくなる気がする。だって動けたのに動かなかったんだから。口ばっかりってバレてしまった。そのくらい動ける体制は出来上がってきたし、人々の協力も得やすい状況になってきている。

美しいコンセプトを語る時代はもう終わり、実際のアクションをする時代へ移って行っているのだと思う。


他にもいろいろ話をさせてもらった。

「社会活動やソーシャルの世界が、原子力村と同じように、ソーシャル村みたいになっているように見える。内向きに閉じているのではないか。みんなを巻き込む発信を含めて、外に開く方策をもっと考えるべきではないか」とか。

「社会活動をする人は、自分たちが動くのはいいけど、『活動したいけどちょっと動けてない多数の人』をおいてきぼりにしていないか。『関与したいけどやり方がわからない人』がソーシャルメディアにたくさんいる。この人たちをおいてきぼりにしていてはシフトは進まない」とか。

メディアは「伝える」ものから「動く」ものへと変わっていくのだろう、とか。

まぁいま思えば、生意気なことを話したw
昨日書いたように、この分野の門外漢だから言えることでもある。

でも、優しいふたり(並河くん上田くん)はちゃんとそれらを受け取ってくれて、対話がいい感じに起こった。40分があっという間だったし楽しかった。おふたり、そして日曜日に国連大学に来てくださった聴衆の方々、Ustやニコ生で視聴してくださった方々(最高2万人の視聴と聞いた)、ありがとうございました。

というか、Ustのアーカイブがあったw。
相変わらず話は下手だし、滑舌も悪いけど、とりあえず。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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