大震災3ヶ月目に(現状とこれから)

2011年5月11日(水) 9:55:49

3.11から2ヶ月たち、今日5月11日から3ヶ月目に入りました。

ずいぶん前にも書いたけど、被災地や被災者への支援フェーズは大きく4つに分けられます。

 緊急救援フェーズ
 避難生活フェーズ
 生活再建フェーズ
 復興町おこしフェーズ

阪神大震災の時はこれが順序正しく進んだのだけど、今回の東日本大震災は各被災地ごとに、いや、各被災者ごとに進行がバラバラで、まだご遺体を探していたり物資が足りないフェーズ(緊急救援〜避難生活フェーズ)の方もあれば、もう仮設住宅に入居して生活再建や町おこしを考え始めている方もいます。そしてフクシマはまた別の災害と闘っているのでフェーズ自体が別立てだったりします。

なので支援する側も、被災者ごとにより細かいケアが必要だし、ざっくりと全体を捉えて考えてはいけないと思います。

特に都会では、マスメディアの報道を見て、ひとまとめに「ようやく復興フェーズだねー」とか考えがちだけど、各地・各人ごとにフェーズが分かれるのだ、と、よくよく理解することが肝心ではないかと。

一方でスペシャルニーズ(アレルギーや特殊な病気)にはまだ手が届いていないし、連休後のボランティア激減で瓦礫撤去や泥かきも滞っているし、なにより「関心の低下」が起こり始めています。

阪神大震災のときも、2ヶ月後に地下鉄サリン事件があり、そして春が来て、一気に関心が低下しました。今回も関心が「ユッケ」に移った人も多いと思うw こういうことがいくつか起こると(宮崎の口蹄疫被害での畜産農家の惨状をもう忘れちゃっている人がほとんどなように)自然と関心が低下し、まだ緊急救援〜避難生活フェーズの方がいるというのに、世の中の関心が次に向かってしまう、という悲惨な状況が起こりえます。それが怖いですね。

あと怖いのはコミュニティの崩壊と孤独死。
特に東北地方は先祖代々何百年も同じ土地で過ごしてきた方が多いです。土地に対する怨念も強いからなかなかそこから離れないし、村や町でも「江戸時代前から数百年のつきあい」みたいなコミュニティが多く存在します。

それが今回、仕方なく都会の親戚を頼って避難したり、仮設住宅の抽選でバラバラに入居したりしてコミュニティを離れた方々がいる。阪神大震災でも仮設住宅や避難先での孤独死が多く起こりましたが、今回はそれが阪神のときより深刻なのではないかと思います。自ら地縁を捨てて都会に来た人、特に東京に住んでいる人は「そんなの移住すればいいじゃん」「新しく町を作りかえた方がいいじゃん」とか発想しがちだけど、彼らはそうはいかない。そのくらい地縁が大切です。

もうひとつ。
今回は「過剰支援」という問題も起こりはじめている気がします。

ボクも「足りないより余った方がいい」と考えてはいましたが、過剰に支援しケアすると、子どもが過保護でスポイルされるように、人は自立できなくなります。居心地がよすぎて避難所から出て行かずに居座り仕事もしない、という人々も出始めていると聞いています(阪神大震災でも前例がありました)。

本来、支援とは「被災者の自立のため」であるはずなのだけど、支援自体が自立の妨げになる、ということが起こり始めているわけです。

だから支援するな、ではないし、まだまだ緊急救援〜避難生活フェーズの方々もいるので支援は絶対必要なのだけど、「自立するための支援とは何なのか」「どのくらいのバランスの支援が最適なのか」という超難しい問題を抜きに、今後の支援は語れないのかもと思っています。


3ヶ月目。
だんだんに避難所の統廃合、自宅避難への切り替え、仮設住宅への入居、遠隔地への移住なども起こり、被災者の方々が個別に分かれ、「カタマリとして見えにくく」なっていきます。そうなると問題点も「カタマリとして見えにくく」なっていくわけで、支援する側もより注意深く個別に見ていく必要がでてきます。

先は長い。そしてとても難しい。でも避けて通れない。
嶋選手じゃないけれど、「乗り越えた向こう側には、強くなった自分と明るい未来が待っているはず」と言い聞かせて、とにかく一歩でも前に進むしかないのだろうと思っています。


・・・とか、偉そうなことを書きましたが、「助けあいジャパン」でも上記のようなことに対応できてないし、日々試行錯誤の連続です。迷うことだらけ。いや、ほんと、もろもろ難しい。でも、息長く地道に一歩一歩解決していけたら、とは思っています。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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