当事者たちの集まり

2011年4月21日(木) 9:27:08

今回の震災で、ツイッターやミクシィなどのソーシャルメディアが情報取得に役に立ったと言われるが、それはまだまだ限られた人々でのお話。実際にはテレビを見て情報を得ている人の方が圧倒的に多いし、震災時にツイッターをフルに活用した人もまだ数%の人々だと思う。

とはいえ、ソーシャルメディアはやはり大きな役割を演じたとは思う。
特にチカラを発揮したと思うのは「当事者意識」という部分。ソーシャルメディアを使っている人は、被害を他人事と考えられず、自分たちのこと(自分ごと)として共有し、何かしなくては、とやきもきした。苦しんでいる人が目の前にいるような近さと共感。そして、ふと気がつくと「みんなとつながっている」ということに気づき、みんなでチカラを合わせて様々な行動を起こした。

テレビだけだと、どうしても、被害は「テレビの向こう側で起こっていること」になる。視聴者は傍観者として呆然とするしかない。行動を起こす人もいるだろうが、そういう積極的なタイプは少なくて、傍観者の方が圧倒的に多いと思う。でも、ソーシャルメディアも一緒に利用している人は、テレビの映像を当事者として観る。この違い。こういうことの顕在化。それが今回のソーシャルメディアによる変化だと思う。

tj110420.gif昨晩、その「当事者たち」が、集まった。
20時から、「助けあいジャパン」に関わった人の、初めての懇親会があったのである。
活動場所を貸していただいている「dreamdesign」の会議室を借りて、会費制で。

311直後から活動を始め、のべ200人くらいの人が動いているこのプロジェクト、そのサイト制作やフェイスブック、ツイッターなどを手がけている人たちの「ほんの一部」が集まったのだが、急にやることが決まったので参加できない人も多数。でも、30人以上が集まった。(正式な懇親会はまたそのうちやります)

というか、のべ200人くらい中、プロジェクト前から知っていた方は5人くらいだ。あとはみな初対面である。昨晩の30人もほとんどが初対面。でも「あ、あのアイコンの方!」「あ、ようやくお会いできました!」の連続。他人とは思えない(笑)

知らない同士がソーシャルメディアで当事者意識を共有して、いろんな問題意識でネット上に集まり、自然と散じる。みんな、自分のスキルでできる範囲を協力して、「助けあいジャパン」に限らずいろいろな場所でそういうことをして、日常と両立させていく。NPOやNGOに参加している人には元々そういう人が多かったかもしれないが、そこまでの意識がなかったであろう人々が、こういう感覚をもって集まるのは、ソーシャルメディアがなかったら無理だったのではないかと思う。

ソーシャルメディアを過大評価も過小評価もしないけど、ソーシャルメディアが社会や時代を大きく変える可能性があるとしたら、きっとこの部分だろうと思う。「社会の当事者たち」が増えていく。「時代の当事者たち」が行動を起こす。

日本が国難にさらされている今、ソーシャルメディアがあって本当によかった。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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