講義後、みんな不安そうな顔をしていた

2010年11月 2日(火) 8:36:29

昨日の夕焼けは本当にキレイだった。
思わずiPhoneでパチリと撮った。夕景は概して好きだけど、大自然の夕景に「人の灯り」が混じる方が好き。まぁこの写真は「人の(生活の)灯り」というよりは「残業の灯り」だけどw でもこの世界を共有している連帯感は感じられる。

何度か講演をさせていただいたり、インタビュー取材も受けさせていただいた日本繊維新聞が休刊したとツイッターで教えてもらった。

アパレル系の新聞としては最も歴史が古いという。ボクとは関係ない業界なので実際には読んだことなかったが、多くの人が情熱を傾け日々冷や汗かきながらがんばったであろう場がこの世から消えてなくなるというのは、なんだかしんみりさせられるものである。そして「新聞業界もいよいよ始まるのか」という実感。

大きな変革期はワクワクするし希望に満ちてもいるけれど、いままでの日本を作り、繁栄させ、ずっと底支えしてきた方々を表舞台から追いやる側面もある。彼ら彼女らが築いた礎のもとにボクらは生きている。それを忘れないようにしないと。

とはいえ、変化しないといけない。金曜日の夜もそんな講義をした。宣伝会議の「クリエイティブ・ディレクション講座」。クリエイティブ・ディレクションについて語るべきものなど何もない普通のクリエイティブ・ディレクターであるボクだが、変化をおそれず変わり続けたということだけは自信がある。なぜ変わり続けたか。そのことをお話しした。コピーライター → CMプランナー → ウェブ・プランナー → コミュニケーション・デザイナー → ソリューション・ディレクター。そしていまは、クリエイティブはもちろん、マーケティングからPR、ソリューションメディアまで扱うサトナオ・オープン・ラボのラボ長だ(ラボ長…カッコ悪っ!)。ずぅっと4マス・クリエイティブひと筋の方には想像もつかないような変化の仕方かもしれない。

クラフトとしてのクリエイティブを否定する気はゼロである。クラフトは大切だし、いつの世も一番突破力があるのは優れたコンテンツだ。でも、広告クリエイティブが「表現」から「クライアントの問題を解決するためのアイデア」に変化した今、最適なソリューションを提供するためにいろんな分野や手法に精通し、時代や生活者の変化に合わせて変わりつづけるのは最低限必要なことだと思う。そのためのリテラシーとは何かを講義した。ひとつひとつの手法の話ではなく、「変化をおそれないこと」という根本的な姿勢について。

講義後、みんな不安そうな顔をしていた。なんだかその場を去りがたくなった。なので残った人たちと一緒に飲みに行った。変わりたいのは山々。でも組織や社規や日々のルーティンが邪魔をする。そんな悩みの数々。ひとりひとりの悩みにちゃんと向き合いたいけれど、そんな時間もないのが悔やまれる。そうだ、そのうち私塾みたいのをしよう。何も教えられないけど、悩みに向き合うことだけはできる。いつになるかわからないけど、そうしよう。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

アーカイブ

同カテゴリーの他記事