若くして独立した人は大変だ

2010年10月20日(水) 9:28:49

昨日の話(変わり続ける話)やおとといの話(叱られる話)にも通じるけど、若い職人がやっている鮨屋に行ったりするとこんなことをよく思う。

若くして独立した職人さん。独立した当初はイイ。独立できるくらいだから腕は立つ。おいしい。なかなかイイ。

でも、残念ながら、そこで立ち止まるヒトがとても多い。
これは仕方ない部分もある。独立した当時の味が客に気に入られていたんだろうし、親方にも認められたんだろう。その味を守る気持ちは分かる。親方に言われたことをしっかり守って鮨を握る。それは大事だ。でも哀しいことに、変化しない分、少しずつ古びていく。独立当初に雑誌やウェブで評判になって新規客がたくさん駆けつけたりすると特に変われない。変わるのが怖くなる。

鮨みたいな伝統食(といっても歴史は浅いけど)に変化は必要ないと思われる方もいるかもしれない。
でも、年々、時代の変化とともに微妙に客の嗜好は変わっていくし、なにより自分で「変わり続けよう」と自己改革していない鮨屋は、成長しない分、自己模倣に陥り、鮮烈な部分がなくなっていく。

叱ってくれる存在がいないことも大きい。
親方という絶対の存在がなくなったこともあるだろうし、叱ってくれるいいお客がついていない場合もある。そうなると「自分で自分を律し、自己改革し続ける」という非常にハードルが高いことをしないといけなくなる。親方の力を借りずに自分だけで「変わり続ける」のは大変な努力と精神力がいる。

そういう若い職人がやっている鮨屋も数少ないながらいくつかあって、そういう鮨屋には「変化を楽しみにいく」という楽しみがある。定期的にその成長を味わいに行きたくなる。あー今度はそう来たか、とニコニコ食べる。

鮨屋に限らず、若くして独立した人は大変だ。
下請け的な仕事の方はまだいい。大将とかセンセイとか呼ばれてしまう職業の方は、周りからチヤホヤされる分、変化しにくい環境にある。

止まらずに変化し続けるということは、以前の自分のやり方の否定も必要だ。営業しながらそれをするのは賭けに近い。でも、それを見事にやり遂げている人は本当にすばらしい仕事をする。見ていて惚れ惚れするし、長年のその努力を尊敬する。大きな組織に長年いて揉まれ続けているくせに、そのレベルに達せられない自分を情けなく思う。

とか書いているうちに、鮨食べたくなってきたw
成長し続けている鮨屋さんに、近いうちに行こう。今年は海温が高くて魚が大変なことになっているようだけど、そろそろ冬の魚も入り始めている頃。楽しみだ。つか、腹へったw

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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