ルジマトフ、岩田守弘、吉田都 「バレエの神髄」

2010年7月12日(月) 7:51:13

ルジマトフ、岩田守弘、吉田都らによるガラ公演「バレエの神髄」に行ってきた。@文京シビックホール

ガラ公演とは、バレエの有名な見せ場や有名ダンサーのダンスだけを集めて行われる公演のこと。
ボクはもともとガラ公演があまり好きではない。ストーリーがある全幕物の方が好き。バレエはダンスを含む「演技」で評価されるべきものだと思うので、ダンスの魅力のみを取りだして見せるガラ公演にはどこか違和感を感じる。とはいえ有名な場面をスターたちが踊るので楽しいんだけど。

今回は出演者がなかなか豪華。
「韓流スターですか?」という勢いで女性たちに人気があるルジマトフ。親友・岩田守弘。英国ロイヤル・バレエ引退後初の公演になる吉田都。キエフ・バレエのスター、フィリピエワ。キエフの若手注目株のドムラチョワ。演目もバラエティに富んでいて面白い。

第1部の最初の「眠りの森の美女」は、ちょい文化祭っぽい始まり。というかガラ公演のド頭っていつもそんな印象。場が温まってないのにいきなりサビから始まっちゃうので、どうしても唐突感と違和感がある。でもドムラチョワのダンスがとても良かったのが収穫。“決め”がきっちり止まって美しい。

岩田くんがソロで踊った「侍」は、実に安定感のあるもの。
今回のダンスを見て、なんというか「ギエムみたいなゆっくりさだなぁ」と思った。以前はキレとスピード感が特徴だったが、今回はすごくゆっくり見えた。ジャンプも回転も素晴らしいんだけど、ゆっくり見える。ギエムってどこか「踊ってるんだけど踊ってない」みたいなところがあるが、それに近い境地か。隅々まで余裕が見えている感じ。まぁ本人曰く「必死ですよ」らしいけど(笑)

「海賊」のパ・ド・トロワは、フィリピエワとシドルスキーとイシュクのキエフ3人組がとても良い出来。フィリピエワかっこいい。すげーカッコイイ。一気にファンになった。終演後、楽屋で握手してもらったくらい(笑)

そして、岩田くん振付の「阿修羅」をルジマトフが踊った。
これ、ボクは2回目だけど、前回とは大幅に印象が違った。すばらしい出来。終演後「振付かえた?」と岩田くんに聞いたら「全然かえてない。でも今回はルジマトフの集中力が異様だった」と言っていた。よかったなぁ。今回一番印象深かった演目。ルジマトフって手が長いんだけど、その手が変幻自在に動き、幽玄な雰囲気を醸し出している。彼のためにあるような演目だ。あえて言えばド頭の照明がトップからのダウンライトでない方がいいかなと思った。ルジマトフが変に太って見えて美しくないから。これは岩田さんに伝えた。

「ディアナとアクティオン」は、ドムラチョワと岩田くんの共演。
「ドムラチョワの運動神経がすごくて、ボクは何もやらなくて済むんです」と岩田くん。いやいや熱演だと思う。リフトが丁寧で良かったと伝えたら「リフトのやり方を教わったんです」とニコヤカに話してくれた。彼ほどのベテランでもまだ成長しようとしている。さすが。

吉田都が踊った「ライモンダ」。
もう、なんというか、正確で上品で可愛らしい吉田都ワールドをきっちり見せてくれた感じ。ただ、「ロシアバレエではない」なぁ。これは英国ロイヤルとの方向性の差かもしれない。でも満足。

第1部は以上だったけど、緩急ついたイイ構成だったと思う。飽きさせない。
で、第2部は「シェヘラザード」。フィリピエワとルジマトフとキエフの面々による全幕45分もの。これはちゃんと舞台美術があってガラっぽくない意外性があった。フィリピエワ、実にいい。彼女はまた見たいな。来日したら見に行こう。ルジマトフはカリスマ性が尋常ではない。一挙手一投足がセクシーで美しい。カーテンコールでは花束を異様な数もらっていた。

全体に楽しい公演だったが、あえて苦言を言えば、音響が悪かったのが残念。ガラは生演奏でなくテープが使われることが多いが、音が割れててちょっとひどい。

ちなみにこの公演、今日が大阪公演、14日に福岡公演をしたあと、15日に東京でフィナーレを迎える。席は多少余裕があるようだったので、興味ある方は是非。


終演後、岩田守弘くんとご飯。
バレエの裏話をいつもより濃く聞いた。ルジマトフと岩田くんのダンスの違いなどについても濃く。貴重な時間。サンキュー。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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