ラジオ・メディアについて言いたかったこと

2010年5月 2日(日) 22:50:37

ラジオの生放送で何をしゃべったんですか、とメールで聞かれたが、ええとここで Podcasting できるようです。自分で聴くのはヤでまだ聴いてないけど(笑)。前半はわりと緊張しちゃったし。舌はまわらないし。あ〜ヤだヤだ。

うまく伝わったかどうかわからないけど、ラジオ・メディアについて言いたかったことはこんなこと。

  • ラジオは生活者参加型という意味で、昔からソーシャルメディア的だった。その知見の積み重なりは貴重。ラジオはいまソーシャルメディアともっとも親和性が高いマスメディアでもあり、そこと融合・合体していけばかなり明るい未来が待っているのではないか。

  • radiko.jp の登場で、そのソーシャルメディアに具体的に入っていけるようになったのが大きい。しかも「いままでラジオに触れたことがなかった若者たち(ラジオを持ってもおらず、チューニングの仕方もわからない若者たち)」にとっては新鮮なメディアでもあるので、逆に有利だろう。

  • radiko.jp によって、ラジオは(ネット上の)映像とテキストを手に入れた。音を聴きながらいろんなコンテンツを楽しめる。リンクできる。参照できる。検索できる。ツイートできる。etc.etc。そしてそれをパーソナリティ(DJ)と共有できる。これがどのくらい大きなことか。ここに無限な可能性と勝機がある。ラジオは、「音だけ」を捨てれば、真のマルチメディアの中心に行ける可能性がある。

  • ただし、ソーシャルメディアに上手に入り込んでいくためには「ソーシャルメディアにどっぷり浸かって、肌感覚でソーシャルメディアがわかっていること」が必須。ラジオの経営者はそれができないといけない。いまの経営陣にそれができるかどうか。極端な世代交代がラジオこそ必要ではないか。30代〜40代に経営を任せ、フットワーク軽くソーシャルメディアの中に入っていくべきであろう。

  • テレビみたいに録画で見ても楽しめるものとは別に、ラジオにはリアルタイムという強みがある。これはリアルタイム・ウェブであるソーシャルメディア、特にツイッター的なものとの親和性が高い。月が美しいことや地震で揺れたことを共有し、ツイッター的にリアルタイムで共感できる流れができれば、新しいラジオの未来が見えてくる気がする。

  • ちなみに、ラジオは「ながらメディア」である。メディアが激増したこの多メディア時代、逆に「他のメディアに触れ“ながら”利用できる」というラジオにとっては有利な時代でもある。そういう観点からも、ラジオの未来は明るいと思える。ちゃんとその辺を自覚して前に進めれば、だけど。
…言えたこともあるし、言えなかったこともある。でもまぁこんなようなことを考えている。

ただ、ラジオの中の人はあまりに「マーケティング」しておらず、「いまの生活者」のことを知らなすぎる。
どんなヒトが聴いていて、どこに新たなニーズがあるか、まったく探ってないと言ってもいい。やっているとしてもアンケート調査的定量調査。そんなの「大衆」という人たちがいた時代の調査手法である。大衆なんてもう死語だ。20歳〜35歳までをF1M1と呼ぶのは単なる思考停止のなせる技。20歳の女性と35歳の女性が同じわけない。

まずは伝える相手である生活者をよく知り、漠然と「大衆」に向かって番組を作るのをやめ、ソーシャルメディアに踏み込んでいく。そこから第一歩が始まるんじゃないかな。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

アーカイブ

同カテゴリーの他記事