ふたりのトークショー

2010年4月12日(月) 7:35:20

昨日は須田和博くんとトークショーだった。@青山ブックセンター本店

青山ブックセンターは六本木店をとてもよく利用させてもらうのだが、この書店での2008年上半期新書売上ベスト1は拙著「明日の広告」なのである。手作りPOPを置いてすごくプッシュしてくれていた。大好き(笑) 本店は青山「こどもの城」の近く、国連大学の裏手の地下にある。店の奥に100人ほど入れる会場があり、そこでよくトークショーなどのイベントを開いているらしい。

昨日は天気が非常によく、暖かかった(暑いくらい)。
13時からのトークショーだったので、「こりゃ昼シャンパンとかしちゃって『行くのやーめた』となる人続出だろうな」と思っていたが、140名(100名定員がすぐ埋まり、追加募集で40名入れたらしい)のところ、125名ほど来てくれた。こんなに暖かくてうららかなのに、地下の暗い一室に来てくれてどうもありがとうございました。

須田くんとトークショーするのは2回目。
前回は「第52回 日本雑誌広告賞」主催のトークイベントだった。昨日のテーマは「これからの広告って…」。まぁこのテーマに収束したかどうかは別にして、リラックスして楽しくしゃべれたと思う。司会進行は「CMジャーナル」の菊地由美さん(ありがとうございました)

須田くんはボクのライバル会社の社員だし、お互いにほぼ同じ領域を扱っているので一般的には「敵」っぽく思われるかもしれないが、実は広告コミュニケーションに対する考えがとても近いとお互いに認識しているし仲もよい。徹底的に生活者本位スタンスで、ウェブは使えて当たり前だと思っていて、だけどネット至上主義ではまったくなくて、No Line が完全に身についていて…、と、まぁなんというか完璧に「同類」。

というか、一度会ってふたりで飲んだとき、「生活者目線に立ったとき、どこの広告会社が担当したかなんて全く関係ない。いいコミュニケーションが作れるなら、会社内の壁だけでなく、会社と会社の壁もなくしたっていい。電通と博報堂の間に横たわるラインだってなくなったっていい。電博スルーザラインの考え方でやろう」と意気投合したくらいは、ふたりとも生活者本位スタンスである。

その延長線上で、内閣の「国民と政治の距離を近づけるための民間ワーキンググループ」にも一緒に参加している。まぁあれは仕事ではなくボランティアだが、そのうち会社を越えて同じ仕事をしてみたい。

彼の本「使ってもらえる広告」も、だから、基本的に同意することばかりというか、「明日の広告」と同じ路線上だとボクは思っている。そういう意味で「トークショー的にどうなのかなぁ」とちょっと心配していた。対立構造がまったくなく、お互いに「激しく同意」ということばかりだからである。まぁでも逆に「同じ方向に収束した」ので、聴いてくださった方々にはわかりやすかったかもしれない。

内容はそこそこ充実したものだったと思う。まぁトークショーなので自分の論を深く展開するというよりは、どうしても表層・拡散気味になるのだけど、それはそれで楽しい。1時間半があっと言う間だった。
そのあとサイン会があり(ああいうちゃんとしたサイン会って初めて)、終了後は須田家にお邪魔して食事会になった(妻も合流)。プロはだしのゼリー寄せ(写真)、メインには新たまねぎのロースト(画像の確認写真)。おいしいワインとともに楽しませていただいた。須田くん、そして奥さんの檜山巽さん(本職は絵描き)、どうもありがとう。


ちなみに、トークショーのとき、「彼の本『使ってもらえる広告』をどう思うか」という質問があって、それに答えるうちに話が脱線してしまってちゃんと答えられなかったので、以下に少しだけ書いておきたい。

使ってもらえる広告 「見てもらえない時代」の効くコミュニケーション (アスキー新書)内容的にはまさに「そのとおり」な部分が多く、きわめて「イマ」的な最新・最先端の広告手法論だと思う。

中で「広告=ラブレター論」を否定しているので、ボクの本の否定と思うかたもいらっしゃるみたいだが、全くそんなことはない。それは「広告をどう定義するか」で変わってくるからだ。ボクは従来「広告」と呼ばれていたプッシュ型広告を「一方的なラブレター」と位置づけ、「それだけじゃもう伝わらないよ」という、2年前のリアリティであの本を書いている。出版から2年、ラブレターだけじゃ伝わらないことを前提にして、一歩、論を進めたのが本書だと思う。

ただ、若者とかがこの本の表面をさらっと読んで「これからはこういう広告か!」とわかった気になると大変あやういと思う。
須田くんはわかって書いているが、「プッシュ型もまだまだ大きく効く」のである。昔に比べて効きにくくなっただけだ(昔は異様に効いたからね)。また、使ってもらえる広告(=ブランデッド・ユーティリティ的なもの)だけでも伝わらないことは多い。ラブレターも渡さず、アッシーやメッシー(死語?)として「使ってもらえる」だけで心が動くかどうか。その辺、組み合わせとバランスとタイミングが必要で、そのためにコミュニケーション・デザイナー的な人の存在が必要になってくる。

とはいえ、この本は「こういう概念についての気づきと普及」のための本なので、そっち側に偏って書いているのは当たり前。この辺のことを知らずに最新の広告は語れないので、広告関係者はぜひお読みください。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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