講演中に迷うこと

2010年2月 9日(火) 8:23:11

昨日は大阪日帰り出張。
昼前に大阪についてそのまま会場入り(帝国ホテル)。

札幌、仙台、広島、名古屋、と、4回やってきたこのカンファレンスの基調講演も残すところあと3回。大阪と東京と福岡だ。昨日の大阪は過去最大の430人の聴衆。ホテルの会場もさすがにでかい。

まぁ過去4回同じ内容を話してきたので馴れてはいるのだけど、いまだに難しいなと思うのは聴衆のレベルに差があること。
レベルという言葉を使うと失礼な感じだが、んー、なんというか、ネットのネの字もあまり知らないような方と、もう普通に使いこなしている方と、両方が混じっている感じなので、どっちに合わせて話をすればいいのか難しいのである。こういう場合はだいたい「中の下」あたりに合わせて話すのがいいのだけど、「上の上」の方にはたぶん既視感がある内容だろうし、「下の下」の方にはちょっと難解すぎる内容だろうと思う。壇上で自信たっぷり話しているように見えながら、内心では「うーん、これって難しいのかな? それとも簡単すぎるのかな?」と迷ったりしている。

これは広告学校系の講義でも一緒。
土曜日に教えてきたが、これも「うーん、これって難しいのかな? それとも簡単すぎるのかな?」と迷いながら話している。何割かの人にとっては簡単すぎる当たり前の内容。何割かの人にとっては初めて真剣に考える新しい内容。

まぁ「簡単すぎる当たり前の内容」と思う人でも、頭でわかっているからといって実際に企画・構築できる人はめったにいない。何度も何度も基礎を学んで脳味噌に刷り込まないと、無意識にできるようにはならない。というか、この内容が無意識レベルに落ちれば、実はどんな企画だってできる。どんな仕事でも通用する。すぐにでもプロの第一線でできる。

だから堂々と「簡単すぎる当たり前の内容」を教えればいいのだけど、なんかね、そんなの当たり前じゃん、とかいう顔で聞いてる人がいるわけですよ。そういう人に限って課題を出すと全然できなかったりするんだけど(広告学校系の講義は課題を前もって出しておいて採点して講評するパターン。200人くらい採点&コメントしないといけなくて、かなり大変)。

ここ数年、講演とか講義とかを頻繁にするようになって初めて、昔ならった先生たちの苦労がよくわかるようになった。
あぁ、しつこく基礎ばかり教えてくれていた地味な授業とかも、いまならよーく気持ちがわかる。基礎さえ叩き込めばそれで充分なんだよね。でも生徒側としては基礎なんてすぐわかった錯覚に陥り、飽きてしまう。目新しくて楽しい授業が欲しいのだ。そんなの意味ないんだけど、でも先生側としてもサービスしていろんな方向から目新しく教えざるを得ない。中学・高校・浪人・大学と、先生方はそういう工夫を毎回してくれていたのだなぁ。とか、いろんな先生の顔を思い浮かべながら、しばし物思い。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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