フリュイ・ド・メール

2009年10月15日(木) 7:13:17

昨晩、あるビストロで「フリュイ・ド・メール(Fruits de mer)」を食べた。
直訳すれば「海のフルーツ」。まぁ海産物全般を指すのだけど、メニューに載っている場合は「海の幸の盛り合わせ」な場合が多い(氷の山に盛り合わされている場合が多い)。ボクの中でのイメージは、生牡蠣やハマグリやムール貝や大小のエビなんかがレモンなどと共に氷の山に豪華に盛り合わされている感じ。たとえばこんな風

これ、フランスではほぼどのレストランでもメニューに載っている。いや、海外のレストランではかなりの確率でお目にかかることが多い。でも意外と日本でメニューにしている店は少ない。海の幸がこれだけ豊富な国なのに何でかな。生牡蠣なら生牡蠣だけのプレートになってしまう。いいのにな、これ。見た目が豪華なので「わー」とテーブルが盛り上がるし。

大学生時代にバックパッカーとしてヨーロッパ一周貧乏旅行したとき、最終地パリの北駅駅前にあったビストロで「最後だし!」と奮発した「フリュイ・ド・メール」が忘れられない。
他のテーブルでも普通にみんなオーダーしているので特別感はないのだが、学生の身としてはかなり豪華でハレヤカ。生牡蠣なんかが氷にいっぱい刺さった独特の背が高いプレートをギャルソンがニコニコ抱えてきてくれたときの、あのちょっと高揚した気分。翌日には日本に帰るという寂しさと、1ヶ月の貧乏旅のいろんな思い出と、最後まで辿り着いたという達成感とが結実したようなプレートだった。お金がなかったのでメインもデザートも頼まず、「フリュイ・ド・メール」だけを3人前オーダーして、一緒に旅をした親友とふたりで惜しみながら食べたなぁ。

そうだ、いま思い出したけど、あまりに美味しかったので近くの魚屋で売っていた生牡蠣を買って安ホテルに帰ったんだった。で、いざ食べようと思ったら、牡蠣の開け方がわからない。道具もなく、ナイフでやってみても開かず、ホテルの受付のアフリカ人に聞いても埒があかない。結局泣く泣く捨てたんだった。でも部屋の中には一晩中海の匂いが漂っていた。

後年パリに行ったとき、北駅に行ってそのビストロを探したが、見つからなかった。たしか「北駅」という名前の店だったんだけどなぁ。まぁ店名からもわかるように、きっと観光客用のしょぼい店だったのだろう。つぶれたんだと思う。でも、その後パリではいろんなレストランに行ったけど、あの店ほど鮮烈に記憶に残っている店は他にはない。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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