地方文化を壊したもの

2009年5月23日(土) 9:33:12

昨日のさなメモにはたくさんの強い共感メールをいただいた。100%首都圏以外在住者もしくは首都圏在住の地方出身者からですが(笑)。東京生まれ東京在住の方にはやっぱりピンと来ないのかもしれない。「あーそうなんだ、ふーん…。それで?」という感じかも。

でもね。報道や文化や意識の「東京偏重」を東京の人自身が客観的に知り、自覚することはとっても大切なことだと思う。
ホントの意味での地方活性化も地方分権推進もそこから始まる。第一歩。「全国的に東京中心意識を垂れ流すこと」は、ボディブローのように地方の地盤沈下に効いている。よく東京の人が「どの地方に行っても駅前がミニ東京みたいでつまらない」とか言うが、そういう東京模倣現象は実は東京中心意識の垂れ流しから来ている。その中でも最も影響力を持つのがテレビの東京偏重。予算の都合などもあるだろうし、東京で起こっていることを地方に伝えるのも大事だ。でも、知らず知らず東京偏重・地方軽視になり、地方の人の心を毎日のように傷つけてきたのは確か。

毎日傷つけてきたなんてオーバーだと東京在住の人は思うかもしれないけど、たとえばテレビの全国放送のニュースやバラエティで毎日ニューヨークの話題や事件、ニューヨークの天気や気温、渋滞情報、グルメ情報、ニューヨークのことを知らないと理解できないギャグだとかニューヨークに小さいハリケーンが近づいたという大騒ぎだとかを延々放送されたらどう思います?
地方の人の現状をたとえて言うならこういうことだ。傷つき、呆れ、馴れる。

で、そういう「ニューヨーク偏重報道や番組」が続いたら、東京は間違いなく荒廃する。人々はニューヨーク模倣に走り、東京独特の文化は軽視されて衰退し、ニューヨーク・ブランドに商店街は駆逐され、子供達はニューヨークに憧れて移住し、帰ってこない。東京人は深く傷つき、呆れ、馴れる。

そういう意味において、地方文化を壊したのはキー局の東京偏重報道(もしくは番組)と言っても過言ではないと思うな。まぁ在阪局の方からのメールによると「これでもだいぶマシになってきたんですよ」ということなので、改善される方向にうっすら期待したいけど。

あと、期待という意味ではネットも。
ブログが普及し、東京の人が地方の人の毎日を普通に読むようになり、意識が「日常レベルで」多少フラット化されてきたのは実は大きな一歩だと思う。

ネットによって地方の人同士の結びつきも深くなってきた。地方文化の再生に果たす役割は大きい。ネット直販で東京の人と地方生産者が直接つながりだした流れも悪くないし、「ネットが繋がりさえすれば地方でも仕事できるから移住してもいいな」と言い出してるクリエイター(インフルエンサー)を何人も知っている。元々フラットな性質を持つネットによって、中央集権から多少なりとも「分散」が起こる可能性には期待したいところ。

一方でネットの普及によるネガな側面ももちろんあるんだけど、この辺の功罪を書き出すと長くなるのでやめときます。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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