東京偏重報道について

2009年5月22日(金) 9:28:50

昨日の「東京偏重報道」への言及に対して、首都圏以外に住んだことがない方から「どこが偏重? 重大だから放送するのでは? 不公平? 自分が関東にずっと住んでいるからか地方との差別化を感じることはほとんどありません」と疑問のメールをいただいた。まぁ確かにずっと首都圏を出たことないとわかりにくいかもしれませんね。

たとえば九州在住の方からメールでもいただいたけど、台風のときが一番顕著にわかりやすいです。
台風が来て沖縄や九州が大変なことになっていても、東京発の全国放送ではほとんど報道されない。でも、かなり勢力が衰えたその台風が首都圏に接近すると、それだけで一日中「全国的に」トップニュースで流れ大騒ぎするんですね。関西に住んでいたときもうんざりしてました。「いや、もう関西は通り過ぎたんで。なんで全国放送のトップにして延々詳報を流すかなぁ。東京の台風情報は首都圏版の放送でやってくれよ」と。沖縄や九州の人なんかもっと呆れているのではないかな。

いや、百歩譲ってトップニュースでもいいや。首都なので。機能が麻痺したら困るし。でも、首都圏の電車運行状況やら天気図、転んでケガした人がどうのみたいなことは「全国放送しなくていい」。九州やら関西の電車運行状況が東京で流れたら「なんだ?」と思うでしょ? それと同じ。首都圏への放送に切り替わってからやってほしいわけです(たまに首都圏にしか住んだことない人は首都圏版(地方版)の放送に切り替わること自体を知らない人もいる。地方だとアナウンサーが変わるのでわかるのだけど)。

昨日の新型インフルエンザだって、「東京で2人でた」ということは百歩譲ってトップニュースで構わない。でも、たとえばその人たちが通った道のりの詳報なんて地方の人には関係ないんだから、全国放送のトップで延々と時間を割いて流す必要はない。地方の人が接触した可能性も考えて放送する必要があるとしても「後ほど詳しく」でいい。あんな詳しい情報を首都圏以外の地方の人も全員トップニュースとして見させられているわけです。それ、本当に傲慢なことだと思う。

で、キー局の制作者も、首都圏在住の人も、それを当然と思って疑問を抱かない。
ボクも東京出身なので、そのままずっと東京だったら疑問にすら思わなかったでしょう。関西に14年住んでみて、「うわ、ここまで東京偏重だったんだ」と初めて気づいたぐらいだから。だから首都圏以外に住んだことない方がわからないのも無理はないと思う。でもね、知ってください。

阪神大震災の当日、現地に住んでいたボクは、ようやく電気が来た我が家でつけたテレビで「東京でこの規模の地震が起こったらどうなるか」というコーナーを延々とやっていたのを見て殺意を覚えたんですね(笑)。
まさに今日あれが起こって、たったいま現在地獄の様相なのに、なんだその他人事は、と。というか、もっと切実に知りたい、知らなければいけない情報が他に山ほどあるわけです。全国放送で東京の物見遊山的情報を流すヒマがあるなら、せめて当事者たちには関西版放送に切り替えて、もっと切実な情報を流してくれ、と。東京の論理だけで物事を進めないで欲しい、と。

そういう怒りが「どうもネット上では一般市民が草の根でいろいろ有益な情報を発信していたらしいぞ。ネットってそういうチカラがあるんだ!」という気づきに向かい、その年の夏にこのサイトを開く直接のキッカケになったわけなんですが、それはまた別のお話。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

アーカイブ

同カテゴリーの他記事