村上春樹講演全文。そして新聞の取材力

2009年2月20日(金) 8:16:49

村上春樹の「エルサレム賞」講演全文が47NEWSに載ってますね。日本語訳全文はこちら(英語原文はこちら)。現地で記者が録音したものから書き起こしたようなので、ほぼ正確な全文ということだと思います。

なお、個人的保存のためにボクのサイト上にも引用しておきました(こちらから)。なぜわざわざそんなことをするかというと、ほぼ永久にサイトの内容(リンク先ニュース原文)を消さない海外ニュースサイトに比べて、日本のニュースサイトは一定の期間が経つと原文を消してしまい、リンク切れが起こるからです。

取材に人件費などのお金がかかっているものをタダで提供すること(使われてしまうこと)への新聞社のささやかな抵抗だとは思いますが、もうそんな時代ではありません。堂々とタダで提供し「さすがプロの仕事は違う」とネット住民に思わせ、新聞本紙を見直させる方向で動くべきだと思います。

ロイター通信はこんなことを言っています。

「情報洪水は歓迎です。情報が多く氾濫すればするほど『ロイターはそのことについて何と言ってるんだ?』と聞かれるからです」

この自信に満ち溢れたプロの言葉。
すべての情報がフラットかつローコストになっていく流れは止まらないわけで、そうなってくるとジャンクな情報が溢れる分、「情報の信頼度」が勝負の核となっていきます。そうなってこそ「取材力の新聞」のチカラの見せ所でしょう。ネット上にどんどんタダで提供してその「チカラ」をアピールせずに、いったいどこでアピールすると言うのでしょうか。

ネット上には、新聞と並ぶかそれ以上の言論がたくさん転がっています。全共闘世代や新左翼が経営陣に残る新聞社の言論に比べて、ネット上の言論の方が時代の気分にずっと近く、読者は新聞を見捨ててネットに流れ込んでいます。そこの改革ももちろん早急にしないといけませんが、まずは取材力の圧倒的な違いをネット上でネット住民に見せつけるべきです。
村上春樹の講演完全全文を載せられるのは、現地できちんと取材をしたからこそのこと。これはネット上ではなかなか出来ません(現地のブロガーが動かない限り)。この違いをもっともっとアピールすべきです。ネット上にタダですばやく提供することで。

いたずらに扇情的にして読者に媚びるのもやめた方がいいですね。マスゴミとバカにされるだけです。そういうものはネットで十分。新聞というプロ集団に読者はそんなこと望んでません。不景気不景気と暗いニュースばかり流して騒ぐのももううんざりです。政治家たちの揚げ足とりも一部読者しか楽しんでません。

『○○新聞はそのことについて何と言ってるんだ?』『いろんな言説やデマがネット上に飛び交っているけど、きっと正確な情報が○○新聞に載っているだろう』

そんなことを思って売店で新聞にお金を払うような、健全な情報社会が来ることを願っています。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター
(株)ツナグ代表。(株)4th代表。独立行政法人「国際交流基金」理事。復興庁政策参与。公益社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。東京大学大学院非常勤講師。上智大学非常勤講師。
朝日広告賞審査員。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。
現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。
本名での著書に「明日の広告」「明日のコミュニケーション」(ともにアスキー新書)。「明日のプランニング」(講談社現代新書)
“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(光文社文庫)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。
花火師免許所持。
東京出身。東京在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園夙川芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao[a]satonao.com まで(←スパムメール防止のため、@を[a]にしてあります)。

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