患者側の代理人

2008年4月 8日(火) 9:26:57

昨晩はある総合病院の医院長と病院事務の方々と会食した。
医院長とかいうとなんか「白い巨塔」的だが、彼は元々フォーク歌手で超気さく。楽しい会だった。

病院について知らないことがあまりに多く、「へー」とか「ほー」とかの連続。ボクの病院に対する印象は10年前からストップしているな。というか世間の印象も同じだろう。ここ10年でそんなに変わっているのね。

強く思ったのは、患者と医師の間に翻訳家(もしくはコミュニケーター)みたいなものが必要であること。病院側から見るとそれはコンシェルジュというかアドボケーターとなるが、患者側から見た場合、それは「代理人」に近いもの。

たとえば大リーグだと、プレーヤーの代理人(エージェント)が球団との年俸交渉など一切を受け持つ。プレーヤーがアピールしにくい年俸アップの交渉などをプレーヤーに代わってやってくれるのだ。それと似てる。

患者は医師に生殺を握られている。
だからその診察や薬、会計、入院状況などに疑問があっても口にしにくい。セカンドオピニオンをとる場合でも遠慮があるし、病気で消耗しきっているときはそんな気力もないかもしれない。つまり、常に「下」に立った「お願い」に近いコミュニケーションになってしまう。医師を仰ぎ見るコミュニケーション。

最近、病院では患者を「患者様」と呼んでいて意識が相当変わってきているらしいが、医師や看護師側の意識が多少変化していても、常に患者側は下から仰ぎ見ざるを得ない。
そこをフラットに見ることが出来る「代理人」的な存在があると、その不公平が是正され、患者側に溜まった疑問や不信が解消されるかもしれないし、結果的にそれは医師側にとってもコミュニケーションが楽になるのではないか(医師側の事情を代理人がきちんと理解することが前提であるが)。

特に死につながる大病の場合、患者は命を医師に預けざるを得ない。
一握りの名医にかかった人は諦めもつくが、そうでない人たちはなんか腑に落ちないままに死んでいく場合も多いと想像する。自分の命をビジネス・ライクに扱われてもいい。代理人への報酬もちゃんと払う。それよりもきちんと診療の内容と治る可能性、セカンド・オピニオンの有無などを納得したいし、それを第三者の目で客観的に教えてもらいたいとボクは思う。それがなにより心の平安につながる。

そういう「患者側の代理人」って存在するのかな。今後高齢者が増える日本では職業として充分成立すると思うのだけど。
医師として定年を迎えた人とか、事情で看護婦を辞めた女性とか、元薬剤師の人とか、病院側の事情もある程度わかった人が「患者側の代理人」として存在してくれると非常に助かるし、需要もあると思うのだけど。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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