若者とハムユイと

2007年11月23日(金) 10:39:25

昨日は終業後、ある教室で学生さん50人くらいを相手に先輩とふたりで講義。
もう感心するくらい真面目で真剣な生徒さんたちだった。昼間に自分を原因とした「反省させられること」が立て続けに起こり、それはもう落ち込んで過ごしていたのだが、若者たちに身近に触れて少し立て直す。

この年齢と経験値をもって眺めると、若者の不安も焦燥も臆病も全部そこそこ見えてしまう。でも彼らはその彼ら自身と一生一緒に生きていかなければならず、結局自分の枠の中で最良の自分にするしかないのだ。ボクもこんな自分と一生つきあっていかないといけない。小学生のころと同じような、まったく成長していないお調子者的間違いを相変わらず起こし、自分に相当幻滅したりもするが、でもそういう自分という枠の中で最良を尽くしていくしかないんだろう。辛抱強く自分とつきあわなければいけない。

終了後、学生さんが質問に来た。質問のペーパーを持つ手も声も震えている。緊張するタイプなんだな。ボクの若い頃と一緒だ。がんばれがんばれと心の中で思いつつ、知らんぷりして素っ気なく質問に答える。誰もが通ってきた道だ。ボクが手を震わせて講師に質問していた頃、講師もボクの震える手を見ながら心の中でそう思っていたんだな、とリアルにわかる。

講義終了後、先輩とごはん。
この先輩、ピンポイントで「食べたいもの」を要求する方で、昨日のリクエストはハムユイ(咸魚)。「ハムユイ? あの塩漬け魚の?」「そう、中国のクサヤと言われてるヤツ。なんか急に食べたくなってさー。予約も入れてあるから」 あらそうですか、と、ウェスティンの「龍天門」へ。知らなかったが、ここはハムユイの炒飯が名物らしい。

ラストオーダーもそろそろ、という時間だったが、店内満員。すごいな。
「とにかくハムユイを食べさせてくれ」とハムユイが入ったメニューをしつこく聞く二人組に、キャプテンは「珍しい客が来た」と警戒したのだろう、つきっきりで応対してくれた。先輩が「土鍋に鯛めしみたいにハムユイが入ったのとかできません?」とかワガママなオーダーをするので、料理長と相談してきてくれてメニューにないハムユイ料理をいくつか作ってくれることに。最初はハムユイの切り身を肴に紹興酒の熱燗(染みる!)。それからハムユイと野菜の炒めもの(名作!)を経て、ハムユイ炒飯(うま!)。最後はハムユイの土鍋ハンバーグご飯(絶品!)。この最後のが異様にうまかった。抜群だ。正式名を何度聞いても覚えられないので、「今度来たときもハムユイの土鍋ハンバーグご飯と言えばわかってくれますか?」と聞いたら「大丈夫です」とのことなので、次もこれでオーダーしよっと。

ラストオーダーで上湯(シャンタン)をもらい、〆。
いい店だな。満員なのもよくわかる。

若者とハムユイのおかげで少し前向きに。
先輩に示唆された村上春樹の言葉、「孤独は勝ち取るものだ」を噛みしめつつ。

※メールで教えていただきました。
「ハムユイの土鍋ハンバーグご飯」は「咸魚肉餅[保火]仔飯」だそうです。[保火]は「保」の下に「火」。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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