ニーナ・アナニアシヴィリ「白鳥の湖」観劇
2007年7月23日(月) 6:47:37
いきなりだが、あと100回観たい。観たいったら観たい。
個人的にはそのくらい琴線に触れた。彼女が踊っている間「このまま一生終わるな。時間よ止まれ」と何度思ったか。幕間も終演後も呆然。どうやって家に帰ってきたか覚えていないバレエも初めて。
ニーナ・アナニアシヴィリが踊る「白鳥の湖」は、2003年10月にモスクワで観ている。
ボリショイと久しぶりに踊った夜で(相手役はフィーリン)、ニーナ自身ノリノリでものすごいダンスだった。第一幕第二場ラストの歓喜の踊りなど本当に白鳥になって飛びそうだった。というか少し浮き上がっていたかも。そのくらいなダンスで感動の嵐だった。観客もノリノリで、ボクにとって生まれて初めてバレエの真の魅力を知った夜だったかもしれない。
あれから4年。出産してカムバックしたばかりの44歳。彼女の表現力はもうひとつ違う次元に行った気がする。年齢的には引退間際という感じだが、表現力的には若い時の数倍すごいんじゃないかな(想像)。
まぁ相変わらず可憐すぎるオディールだったり、例のまるで骨がないように滑らかな羽ばたきなんかは逆にやりすぎっぽい部分もあるのだけど、ひとつひとつの演技に余裕があり、どこにもチカラが入っていない。指揮者が煽りまくるアップテンポなパートでもすごくゆっくり踊っているように見える。そして決まるところは見事に決まる。どの瞬間を切り取っても静止画的に美しい。なんだよこれ、どうなってるんだよこれ、とか心の中でつぶやきながら観ていた。鳥肌が何度も立った。
ギエムを観る時も「ギエムだけ踊ってない」と思ったけど、ニーナも踊ってない。踊るという次元を越えて「表現」している。「素晴らしい踊り」だと観客に思わせてしまう踊りはまだたいしたことないのかも、とか実感させる。足先から指先まで完璧な表現力。すべての動きで「伝えたい気持ち」が自然に伝わってくるバレエを初めて観たかも。一幕と二幕のラストでは泣いてしまった。伝わりすぎて。あと、一幕の白鳥と王子の出会いの場面とか二幕のヴァリエーションでも泣けた。美しすぎて。そんなに涙もろい方ではないのに。
って、読者を置き去りにして突っ走ってスマン。
ええと、ニーナ以外も良かったです。グルジア国立バレエが来たのだけど、彼女はここの芸術監督に就任していて、そのせいか、コール・ド・バレエ(群舞)からソリストまでみんな踊りが優しかった。固い部分がなく、ニュアンスの表現がよく出来ていたと思う。彼女の影響と指導なんだろうな。あと衣装がとても良かったかな。
相手役(ジークフリート王子)はボリショイのアンドレイ・ウヴァーロフ。ボンダレンコ教室出身なので岩田さんの同窓。ジャンプも高く、安定したダンスで良かったかも。
台本・振付はアレクセイ・ファジェーチェフ版で、現代のバレエ・カンパニーの練習風景から始まる演出なんだけど、この演出だと道化師が出ないのでそれが寂しい。んでもってあまり好きな演出でもない。全部夢の中ってさぁ…。まぁコンパクトでわかりやすい「白鳥」だったけど。
踊りでは、ロットバルト役のイラクリ・バフターゼ、そしてスペインの踊りの4人が秀逸だった。あとは一幕の青い服の子かな。どうでもいいけど三羽の白鳥の真中の人が男に見えて仕方なかった(笑)
あぁそれにしてもイイモノを観た。こんなイイモノが海を越えてあっちからわざわざ電車で数十分のところまで来てくれるというのは幸せすぎるなぁ。こういうのが定期的に来るということにおいては東京は恵まれている。感謝。
さて。27日には「ドン・キホーテ」を取ってある。
今度は彼女のキトリを観られるかと考えただけで泣きそうだ(笑)
