「掴んでいる」感覚

2007年4月 1日(日) 7:23:38

若い頃はベンチャーとかで成功してブイブイ言わせていて、あらゆる快楽に身を浸した色男だったんだけど、今は見事に落ちぶれちゃって、とはいえ酸いも甘いも噛み分けたおかげで「人生はブイブイだけではない」ということも知っていて、いい感じに肩の力が抜けてとっても魅力的になっているおじいちゃん。

ポルトガルってそんな感じだったなぁ。

それに比べると、日本は「落ちぶれつつあるのにまだブイブイの夢を捨てきれない青さ」みたいのがある。ブイブイの空しさは戦争やバブルで学んだはずなのに、もう若くもなく色男でもないのに、若造りしてギラギラがんばっちゃってる感じ。他の人の成功が妬ましくて「まだまだオレだって」ってギトギト張り合っちゃってる感じ。そんなんで格好いい中年や魅力的な老人になれるかな。醜く煮崩れなければいいけど。

別にポルトガルが老人の国っていうわけじゃないけど、なんか「自分はどうやって歳をとっていくのか」ということを何度も何度も考えさせられた国だった。頭の中がシンプルに整理されていく感じがずっとあった。フランスやイギリスや南の島で感じるそれとはまたちょっと違うベクトル。「センス良く生きつつセンスの良さを捨てる」みたいな。「人生の充実を知りつつ人生をスカスカにする」みたいな。「円を描いて円を消す」みたいな。

今、ちょっと「掴んでいる」んだよなぁ。
でもこの「掴んでいる」感覚も、東京で数日過ごすだけですぐ消えていっちゃうんだろう。なくすには惜しい。「死にたいな」と突発的に思うのはこんなとき。人生の果実を掴んだまま、スッと幕を引きたい誘惑にちょっとだけかられる。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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