「一瞬の風になれ」
2007年1月 8日(月) 20:29:39
「一瞬の風になれ」(佐藤多佳子著)全三巻読了。
ものすごく真っ直ぐでイノセントな陸上短距離一人称小説。ちょっと前に買ってあったのだが、直木賞候補になったと知って慌ててこの連休に読んだ。直木賞とれるかな。どうなんだろう。シンプルすぎる気もするが。でも「走る」実感をここまで感じさせてくれる本もめったにない。ベッドで読んでいる間、何度もカラダが無意識に動いた。一緒に走っているような共有感。登場人物と同じトラックに立っているようなリアリティ。そして最後は少し泣かされてしまった。仕方ないな、この展開では(笑)
登場人物がみんな魅力的。よく書き分けられている。軽すぎるくらいの文体。凝った表現は出てこない。でもそれが不思議にマッチしている。だから混乱もなくあっという間に三巻読めてしまう。若い読者には向いているかも。
ただ、出てくる人がみんな良い人すぎるのがちょっと…。大人が考える理想的な高校生すぎ。健全すぎるんだよなぁ。でも(たぶん)あえてそれを狙って書いているのだろう。この時代、このように真っ直ぐ性善説的に夢を見られる小説は必要だ。
副産物的にだが、この本を読むと陸上(特に短距離)にくわしくなり、とても見たくなる。陸上競技の魅力が余すところなく描かれているのだ。スラムダンクを読んだ後に「高校バスケ冬の選抜」を見に行ってしまったみたいに、陸上のインターハイとか見に行きたくなる読後感。家族に読ませて一度一緒に見に行こう。
今年は大阪で8月25日から9月2日まで世界陸上が行われる。俄然楽しみになってきた。
