テレビCM崩壊

2006年7月29日(土) 9:03:44

2004年末くらいから講演に呼ばれることが増えた(決して自分の力ではなく、たまたまそういう部署にいるから、だけど)。
そこでは事例をいろいろ示しつつだいたいこんなことを話す。

「ここ数年、消費者がガラリと変わった。情報洪水、成熟市場、ブロードバンドの普及などにより、情報の受け手であった消費者が送り手にも変わり、メディアの選択の仕方も激変した。彼ら自身すでにメディアであり、広告で説得すべき対象から一緒にブランドを作り上げる仲間にとっくに変わってきている。消費者がこのように変わったのだから、彼らに伝える広告の手法もトラディショナルなものから脱皮しなければいけない。テレビCM的なプッシュ型から、よりコンテンツ化したプル型へ。CGMを介した新しい伝達手段へ。代表的な例として、メディア・ニュートラル、ブランデッド・エンタテインメント、BUZZ(バイラル)などがある。いずれも、賢くなった消費者に見透かされぬよう細心の注意を払って取り組むべき手法である。そして、今後の主流はたぶん……云々」

この「テレビCM崩壊」という本は去年、NYでの「Branded Entertainment Summit」に参加したときに講演を聞いてとても面白かったJoseph Jaffe氏の本。その時一緒に講演を聞いていた織田浩一氏が「この本、訳して出そうと思ってるんですよ」と言っていたのをよく覚えている。とうとう出版、ということで予約し、出てすぐ読了。

ここ1,2年の、そしてこれからの広告の大変革をまとめた本で、著者独特の言い回しが多少読みにくいのだが、広告に携わるものとしては必読の一冊だろう。「崩壊する」という予言ではなく「崩壊した」という事実として語っていることを重く受け止めなければいけない。というか、これを読んで「へー」とか言っているプロがいるとしたらかなりヤバイ。書いてあることは危機意識が少しでもある人たちにとってはとても常識的なことだ。

ボク自身、トラディショナルな広告会社の"アン"トラディショナルな部署にいて、身に染みて危機感を感じているというか「背中は冷や汗でビッショリ」なのであるが、ボクは、外からではなく中からの変革を模索していきたいと思っている(間に合えば)。変化はチャンス。危機もチャンス。でもなぁ「針の穴を通すコントロールで頭をかすめるビンボールを投げないといけない」からなぁ。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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