ボリショイ・バレエ「ラ・バヤデール」
2006年5月 5日(金) 18:57:52
圧倒的な舞台だった。完成度がめちゃ高い。最後はスタンディングオベーションだった。
終演後いっしょにご飯に行った岩田守弘さんも「今晩の舞台はすごかった」と言っていた。観客が舞台をどんどん煽っていき、演者は相当ノリノリだったそうである。グラチョーワ(ニキヤ)の出来も異様によかった。片足で立つバランスも完璧で長時間(岩田さん曰く「本人も、アレ?立てちゃった、と思ってるんじゃないでしょうか。舞台袖でもみんなでオオ〜と囃してました」とのこと)。
グラチョーワはモスクワのボリショイ劇場の稽古場(岩田さんに特別に入れてもらった)で見たことがあるのだが、素顔&稽古着の彼女は相当ふてぶてしく女王然としていて近寄れないほど怖かった。いやマジで怖いの。でも第一幕の彼女は「これがあのふてぶてしくて怖いグラチョーワ?」と目をこするほど可憐。実際18歳くらいに見えたしなぁ。素晴らしい演技力。靴音もまるでしない滑らかさ。さすがである。
岩田さんが言うには「グラチョーワが出ると何故かいい舞台になる。みんなすごく引っ張られる」とのこと。ある種のカリスマ性か。今回も主役級から端役に至るまで本当に隙のない出来。ネポロージニー(ソロル)も大きな演技で良かったし(情けないプリンス役は地?)、アレクサンドロワ(ガムザッティ)も抜群だったし、第三幕の影の王国での群舞は完璧だった。いやぁあの群舞の美しさったら…。
特にニキヤとガムザッティの闘いの場面は圧巻。手に汗握るふたりの闘い。思わず舞台に引き込まれる。アレクサンドロワって以前より凄みを増した気がする。個性的な顔と長い首で背の低いグラチョーワを攻め立てるのである。こわっ。でもうますぎ。
個人的にはモスクワで観たときにお気に入りになったボロティン(太鼓の踊り)が見られたのも満足。この辺の熱いノリはボリショイならでは。壺の踊りのレベツカヤもとても良かった。韓国人のジュ・ユン・ペ(ボリショイの東洋人は岩田さんと彼女だけ)ものびのびと踊っていたな。
そしてもちろん岩田守弘のゴールデン・アイドル。
実は開演前に電話をもらったときに「以前の捻挫が再発して痛い」と聞いていたのでドキドキして登場を待っていたのだが、踊り始めるとレベルがひとつ違う安定感を見せつけ、ただただ美しかった。ここまで軸がぶれない人はボリショイでも他にはいない。偶像役なのでクールな踊りだったが、高いジャンプと安定した回転で拍手喝采をもらっていた。
日本の観客はとかく客観的な拍手をしがちだが、この夜に限ってはまるでモスクワにいるようだった。岩田さんもビックリしていて「本当にモスクワのボリショイで踊ってるようでした。昨晩やマチネのお客さんとは全然違った」と言っていた。岩田さんの時だけ凄かったのではない。グラチョーワやアレクサンドロワに対しての万雷の拍手やブラボーの声の多さ。すごい熱気を感じたなぁ。まぁ「連休中にわざわざ来る」&「ザハーロワではなくグラチョーワを選ぶ」客たちだもの、いわゆる「濃い」んでしょうね。
キャストを一応まとめておくと
ニキヤ:ナデジダ・グラチョーワ
ガムザッティ:マリーヤ・アレクサンドロワ
ソロル:ウラジーミル・ネポロージニー
太鼓の踊り:アナスタシア・ヤツェンコ、ヴィタリー・ビクティミロフ、アンドレイ・ボロティン
黄金の偶像:岩田守弘
壺の踊り:アンナ・レベツカヤ
「黄金の偶像のメイクはモスクワで観たときはもっとキンキラキンだったけど?」と岩田さんに聞いたら「金粉をもってくる量が少なすぎて薄めて使ったんです」と。メイク係のミスらしい(笑)。
終演後、興奮しつつ岩田さんとメシ。GW中であいてる店が少なかったが、なんとか銀座「マルディグラ」に滑り込む。シャンパンとワイン。うまし。
※ボクはロシアで初めてバレエを見たこともあって、ロシア語読みで刷り込まれてしまっていて、グラチョーワはグラチョーバ、アレクサンドロワはアレクサンドロバ、ラ・バヤデールはバヤデルカとか書きがちなのだけど、今回は日本で流通している書き方にしました。5/3のメモにいくつかご指摘いただきましたが、あれはなんつうかロシア語読みなのです※
