アイーダ・ゴメス「サロメ」

2006年4月22日(土) 21:45:18

バレエはよく観るがフラメンコは観たことなかった。いや、バルセロナの暗い酒場で観たことがあったか。でも舞台でちゃんと観たことはない。というか、あまり興味がなかったのであるな。

「なに〜! そんなことじゃダメです!」とフラメンコ好きが無理矢理誘ってくれ、金曜夜に「アイーダ・ゴメス スペイン舞踊団」の「フラメンコ組曲」「サロメ」を観てきた(オーチャードホール)。まずは最高峰に触れなさい、ということらしい。アイーダ・ゴメス。名前だけは聞いたことがある。正確にはフラメンコ・バレエらしい。もともとゴメスはスペイン国立バレエ団の出身だということだし。

結局誘ってくれた人は急な仕事で来れなかったので、他のフラメンコ好きを急遽チャーターして観に行ったのだが、誘ってくれた友人にはとても感謝している。アイーダ・ゴメス初体験は鮮烈だった。

前半の「フラメンコ組曲」のラストで出てきた女性を見て、彼女がアイーダ・ゴメスだとすぐわかるほどのぬきんでた存在感と技術力。他のダンサーには悪いが、雑魚と石鯛くらいの違い。爪先から頭のてっぺんまで神経が行き届いた上で、感情を一気に奔流させる。メリハリとテンション。客席までビンビンと伝わってくる。

でも圧巻はやっぱり「サロメ」。
月光の中の愛の踊りも良かったが、なんといっても有名な「七つのヴェールの踊り」には圧倒された。まいったな。激しい感情が過剰に伝わってくるところがバレエとの違いか。踊りのラストでほぼ素裸になったゴメスの気迫と美しさも印象的。こんなに「気」が伝わってくる舞台はめったにない。

カーテンコールも実に楽しかった。
拍手がいつの間にかフラメンコの手拍子に変わり、舞踏団の面々がそれぞれ陽気に踊り出す。琉球のカチャーシーに似た盛り上がり。あぁフラメンコって実に楽しいな。こりゃたまらん。


シルヴィ・ギエムが他のダンサーと共演してるとき、ギエムだけ「踊ってない」と感じることがあった。もちろんギエムがさぼっているわけではなく、抜きんでた技術でしっかり踊っているのだが、彼女の踊りは踊ってることをまったく意識させない。なんというか止まって見えるのだ。あの不思議な感覚…。

ゴメスにもちょっとだけそんなものを感じた、なんて書くとギエム・ファンから殺されそうだが、でもね、ダンスの技術を越えて、感情がまっすぐ胸に届く感じがとてもよく似ていた気がする。まぁ一流とはそういうものなのだろうけど。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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