與兵衛さんでの会話
2005年7月 5日(火) 6:23:33
「このごろ鮨屋はどこも赤酢を使うんですよ。流行ですかね。酢飯が赤い。でも與兵衛さんのはずっと白いですよね」
「(にっこり笑って)赤酢ねぇ。どうなんですかねぇ。一度使ってみたんですよ。(奥から酢を持ってきて)こういう赤酢とかね。いいお酢なんですけどね。飲んでみます?(おちょこに赤酢注いで。奥からもう一つ赤酢を持ってきてそれも注いで)結局こっちの色の薄い方の赤酢使って握ってみたんですけど、これ使って握るとうちの鮨じゃなくなっちゃうんですよ。なんか焦点がぼやけちゃう。さっき、まこがれいに一味使ってネギを挟んで握ったじゃないですか。で、このネギをわさびにすると少しぼやけちゃうって言ったでしょ。それと同じような感じなんですよねぇ。どうしてもね、イメージした味にならない」
「それと、赤酢って、なんか米のパラケというか、口の中でのほどけが早くない?」
「そう! 早いんですよ。なんででしょうね。魚より早くばらけちゃう。結局、普通の色の酢でやってます。その酢も飲んでみます?(と、奥から持ってくる)」
「あぁ、赤酢よりとんがってるけど、なんか赤酢の茫洋さに比べると焦点がキチッと来てますね」
「こっちの方がまとまるんですね。んー、だから結局、目指したい味の方向性っていうか…要は最終的に作りたい味のイメージがあって、そこに酢飯と魚を合わせていくわけで。きっと赤酢がそのイメージに合っている職人が多いんでしょうね」
「イメージ、してるのかな」
「どうでしょうねぇ…。結局上と下のバランスなんですよね。でも上に下を合わせてまとめようとする店が多いみたいですね。上に、下を、ね。そう、魚主体で味を作っていく。うちの場合は最終的にまとめたい味ってのがまずあって、そこに上と下を近づけていくんです。バランスを考えながら。だから新鮮でプリプリしすぎる魚だとまとまらなかったりするんです。例えばしまあじなんかは天然使うより養殖使う方がイメージに近い鮨ができたりするわけです。仕入れる魚屋さんもそこらへんをわかってくれていて、うちの鮨のイメージに合わせた魚を選んでくれるんですね。鮨は最終的にうまければいいわけで。そう。鮨は結果、ですからね」
